岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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「詩人の聲」2016年4月

2016年06月22日 14時09分20秒 | 短歌の周辺
天童大人プロデュース「詩人の聲」2016年4月


1、天童大人 4月5日 於)キャシュキャシュダール


 天童は64回目の公演。天童の作品は、自然崇拝、言葉へのアニミズム的作風だ。人間の命への崇敬の念もある。

 この日読まれた作品は、画家森下慶三への追悼詩。バビロン詩編。イタリア詩編。追悼詩は短歌では挽歌にあたる。当然表現方法は異なるが、非常に参考になった。

 バビロン詩編、イタリア詩編は、天童の国際感覚、エキゾチックな作風、精神世界を十分表現している。

 作品に天童の世界観が投影されている。作者の生き方があらわれているとも言える。作品の深みはここからくるのだろう。



2、福田知子 4月7日 於)キャシュキャシュダール


 福田は34回目の公演。京都の近くに住んでいりだけに伝統的な古風な趣がある。風土と伝統とを作品化している。作品の冒頭に古典和歌、文語を使用している。「な~そ」など和歌の語法も使われている。公演のチラシの内容も古典的な趣がある。FBの投稿記事も京都周辺の自然や風土の記事が多い。これが福田の作品の最大の特長だろう。

 メルヘンチックな作品、象徴詩、戦争や福島第一原発を素材とした作品もあったが、これはややこなれていない印象があった。だが、この辺から新境地が生まれるだろう。



3、長谷川忍 4月26日 於)キャシュキャシュダール


 長谷川は38回目の公演。聲のリズムが心地よい。『女坂より』という詩集を刊行してからテーマを決めずに、月に2編の新作を作って、聲に乗せている。

 新作がどういう傾向のものになるか楽しみだが、長谷川独特の境地は変わらない。絵画をモチーフにした作品、土と街と人のぬくもりに満ちた作品、人間の悲しみを表現した作品。追憶などの心理。様々な作品があるが、共通項がある。街や人間と言葉への愛おしみがあるのだ。

 癒しと言えば表現が通俗になるが、長谷川の人柄を表している。新作もこういう傾向を持った作品になるだろう。


 4月はほかに2人の詩人の聲を聴く予定だったが、多忙なため断念した。




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