岩田亨歌集『聲の力』(角川書店)が書店で注文できるようになりました。
『聲の力』十首抄
・聲を撃つ夜の地下室の空間の響きよ無限の世界へ届け
・囲炉裏火の熾の光れる小屋のなかマタギの爺が静かに話す
・追悼の人の集える広場にて冬の時間は厳かに過ぐ
・理不尽なこと多くある世にありてたった一度の意思表示せん
・海外への派兵の決定なされたる今日多喜二忌の案内届く
・カフェラテの泡の消えゆくさまを見るわが煩悩もかくのごときか
・立ち枯れのメタセコイアの幾本が激しくゆれる風の吹く街
・勝ち負けはもうなからんに死後もなお高さ違えて石塔ならぶ
・夕暮に風受けるともゆるがざる楡の古木の葉がやわらかし
・蒸し暑き雨あとの昼卓上のカットグラスがたちまち曇る
岩田亨歌集『聲の力』(角川書店)は1000円プラス税です。