岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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戦争法が日本の民主義を目覚めさせた

2015年10月06日 00時22分53秒 | 政治経済論・メモ
戦争法(安全保障関連法)が成立した。9月19日の未明の事だった。この法案にたいする反対運動が長期に渡り続いてる。『東京新聞』は「2015年安保」と呼ぶ。だが60年安保にも、70年安保にもなかった特長がある。法律は成立したが敗北感が漂うどころか戦争法廃止を求める運動はますます高まっている。その特長を考えてみた。


 法的事実というものがある。法律を制定する根拠だがこれが完全に崩壊している。「ホルムズ海峡の機雷除去」「海外の在留邦人をメリカの艦船がのって避難するのを自衛隊が護送する」この二つを安倍首相は法整備の根拠として挙げた。

 しかし「ホルムズ海峡」の問題は、イラクとアメリカの和解によって根拠がなくなった。「アメリカ艦船による邦人の避難」は国会の審議で否定された。しこで急遽持ち出されたのが「中国脅威論」だ。だがこれは荒唐無稽で政権の放った口実でしかない。


 中国の最大の関心事は経済成長だ。貿易の拡大を最優先している。中国の貿易の相手の一位と二位はアメリカと日本だ。冷静に考えれば中国が貿易の最大の顧客を失っても日本に攻めて来るのは有り得ない。しかも中国では、アメリカ、中国、日本の合同軍事演習が行われている。南シナ海の南沙諸島の事が言われるが、ここは中国と周辺諸国の対立が以前からあった。日本は外交的に仲介者となってきた。「中国脅威論」に基いて一方に組するのは軍事的緊張を高めるだけだ。「中国脅威論」はデマに等しい。冷静に考える必要がある。また「九条にもとづく外交こそが、日本の最大の安全保障だ。

 立憲主義。これは代議制民主主義を補うものだ。議会の多数派が正しいとは限らない。ナチスは選挙で選ばれ、憲法を議会の多数で停止した。この多数の横暴を防ぐために立憲主義が強調されてきたのだ。それを安倍政権は無視した。


 法的安定性。日本は法治国家だ。だから法的安定性を重んじる。時の政権の恣意的判断で法律の体系が変えられては法治国家とは言えない。この法的安定性を政権は無視した。


 アメリカの言いなりになっている状態。「アーミテージ報告」という文書がある。アメリカの共和党のタカ派の論客だが、TPPも集団的自衛権も、安保法案も、この報告に沿って行われている。「対米従属」だが、鳩山元総理をはじめ、多くの人がそれを実感し始めている。

 軍需産業への傾斜。安部内閣は軍需産業を基幹産業と位置付ける方針を明らかにした。財界の意向もここにある。「軍産複合」と言うがこれを多くの人が感じ始めた。

 つまり民主主義に関することを多くの人びとが学んだのだ。僕が日本人の意識が根底から変わりつつあると感じるのはまさにここにある。

 戦争法廃止の運動が「立憲主義を取り戻す」「民主主義を取り戻す」と意識されるのはまさにここに原因がある。




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