天童大人プロデュース 「詩人の聲」於)Cache-cache d'Art(自由が丘)
柴田友理の肉声の、詩の朗唱を聞くのは、2回目だ。このプロジェクトに聴衆として参加する時は、僕は目をつむる。高橋睦郎、田中庸介のときも同様だった。
このプロジェクトは、去る10月に1000回となり、ここで詩人たちの「聲」がどう変わるかに注目して聞いた。
朗唱は大きく分けて、3部立てになっていた。1、九州福岡の方言を活かした詩、2、西脇順三郎に似た象徴詩、3、短編詩。
今回聞いていて気付いたのだが、1、と3は声に張りがあり、声が通る。2、は声に張りがなく、通らない、不思議なこともあるものだと思って聞いていた。
何せ1時間の長丁場だ。「途中で疲れたかな」と思いきや、そうではなかった。朗唱の終わったあとで、本人に聞いたら、2、は旧作だった。目をあけていた人の話では、2、の時は、柴田本人も読み難そうだったとのこと。
「もう、旧作は体内のリズムと違っているのだよ」と、プロヂューサーの天童大人が言う。「旧作はもっと無駄を削るといい」とも彼は言う。なるほど、斎藤茂吉が「自分の内的流転に相応しい言葉を使え」と書き残しているが、現代詩にもそれが言えるのだろう。
公演の終わったあとで、柴田由理が晴れ晴れとした顔をしている。「自分のリズムを見つけた」という趣旨のことを、終わったあとで話していた。「ヨーヨッパへ2年、3年と言ってこい。お前の詩はぐんと変わるぞ。」天童が言う。このプロジェクトの目的は「詩人を育てるものだ」と改めて思った。
僕も、11月、12月と年内に2回公演する。僕自身も「変わりたいものだ」と心底思った。
なお、柴田友理は、12月3日、東京三宿Star Poets Galleryで18回目の公演を行う。
予約、問い合わせは北十字舎(03-5928-1834)か、Star Poet Gallary(03-3422-3049)まで。開場18:00開演18:30。