「夏目漱石の美術世界展」 於)東京芸術大学美術館
夏目漱石と言えば「こころ」「三四郎」「草枕」「虞美人草」「それから」「門」「坊ちゃん」「吾輩は猫である」などで知られる作家である。
僕も、若い時には夢中で読んだ記憶がある。
この夏目漱石の文学作品と、明治の美術という、これまでなかった視点からの展示が行われているので、期待しながら美術館を訪問した。
この展示会には、幾つかのテーマがあった。アトランダムに述べてみる。
先ず、夏目漱石の文学作品と美術。漱石の文学作品には、美術作品の記述がある。これは空想で描かれたものではなく、実際の美術作品に基づいている。漱石の文学作品の「深み」と「臨場感」はここから来るのだろう。
事実、漱石はヨーロッパ滞在中に数多くの美術館を訪れている。その滞在時に漱石が見たであろう作品も、展示されていた。
次に、漱石と親交のあった、画家や彫刻家の作品も展示されていた。荻原碌山、等の作品だ。漱石の文学は、明治の文学でありながら、現代に通ずる「普遍性」がある。人間が「リアルに」描かれているのがその理由だろう。その「人間を描く」ということに、美術が大きな役割を果たしている。
それから、正岡子規、ホトトギス、といった、短歌・俳句との関連を思い起こされる展示物もあった。(正岡子規は後継者の候補の一人として、漱石を考えていた。)
最後に、漱石自身の描いた水墨画などの展示。漱石の趣味の良さが伝わっていた。漱石の美術に対する造形の深さは「武術評論のジャンルを開拓した」ともあった。
僕の取り組む文学は短歌だが、この「展示会」を短歌の糧としたいと思う。
井上ひさし展、太宰治展、そのほか鎌倉文学館の展示も、短歌の糧としたいと思う。
(この内容の記事は、ミクシーの日記にも書いた。ご参考にしてください。
ミクシーの登録名は「Iwayan」。キーワードは「滴」。)
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