岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「詩人の聲」:2014年3月

2014年03月31日 23時59分59秒 | 短歌の周辺
天童大人 プロデュース 「詩人の聲」2014年3月


1、福田知子 3月17日 (於)東京平和教会駒込チャペル

 第19回公演。チラシから。-弥生のかすかな光、あやうい兆候。あらわれはかすかに見え隠れする。いのりへのひらめき、そして希望・・・うすさびす刹那に生きること、とそこにひらく言葉、希望への徴し。聴きとおしていただければ幸いです。-

 公演は3部構成だった。新作、旧作に手を加えたもの、新作。澄んだ聲で、腹から力強い聲を出していた。作風は、理知的な硬質感のあるもの、万葉集の引用を取り入れた京都の伝統と歴史を感じさせる作品、さまざまあったが、気持ちよく眠気を誘われた。


2、天童大人 3月20日 (於)東京平和教会駒込チャペル

 第39回公演。天童大人の聲は、体をえぐるほど、ぐんぐん体内に響いてくる。第二詩集『エズラ・パウンドの碧い指輪』の全編と、「3・11」に題材をとった「難民島」、「カイロの空」、「ニムロデの塔」などの作品が読まれた。作風は、社会と伝統を見つめ、ややエスニック風の作品が多かったように感じた。

 作品に圧倒されて、この第二詩集を購入した。日本で天童のような詩を創作する人はいない、と言った強烈な個性と独自性を感じた。それでいて言葉に無理がない。


3、柴田友理 3月24日 (於)NPO法人東京自由大学(神田)

 第21回公演。柴田の聲と作風は、聞くたびに変わってくる。前回は旧作は捨て、自分のリズムを掴んだように思ったが、今回また変化した。

 全体は4部構成。標準語の詩、筑豊弁の混ざった詩、筑豊弁の詩、標準語の詩。前々回あたりから、筑豊弁を取り入れた作品を読んでいる。

 だが、前回と筑豊弁の聞こえ方が異なった。前々回は、筑豊弁の試用、前回は筑豊弁で詩を読む。だが今回は、筑豊弁を作品のなかで消化している感じだった。
 方言には独特の温もりがある。標準語の作品にも、その温もりが浸み込んだようだった。途中で涙が出て来た。なにかこう懐かしい響きがあったように思う。


4、長谷川忍 3月30日 (於)Hispanica(溜池山王)

 第15回公演。会場は今回から同じビルの別室に変わった。明るい雰囲気で、聲が心地よく響く。新作を聞いた。

 聲は堅実、作風は誠実な抒情詩。プロフィールに、川崎出身とあったが、川崎南部の京浜地域の香のする作品だった。主題もしっかりしている。人間が生きる意味を問うているような作品だった。

 これは、聲を聴き始めて5分くらい経って感じたのだが、後半に「浜川崎」など固有名詞が出てきて、「さもありなん」と思った。話を聞きたかったが、この日は悪天候のため、懇親会はなしだった。かわりに一人で渋谷で飲んで帰った。


 このプロジェクトの日程は、URL:http://projetlavoixdespote.jimdo.com/をご覧ください。




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