岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「星座α」第7回歌会

2012年02月01日 23時59分59秒 | 歌会の記録(かまくら歌会・星座・星座α・運河)
「星座α」第7回歌会  於)浄妙寺石窯ガーデンテラス2階

「星座α」第7回歌会。創刊歌会以来顔を合わせる方も多く賑やかかつ、真剣なものだった。


1・歌会の形式:

 一首につき参加者ひとりが批評したあと、選者団(今回は6名)が二名批評。三首ごとにまとめて、尾崎主筆が批評。会場の中央にテーブルがあって、僕ら選者団は前後から見られる位置にあったので、緊張して臨んだ。


2・短歌の素材:

「男爵芋」「冬の海」「皆既月食の夜の雪」「アロエの花蜜(かみつ)」
「みぞれ降る夜の咲く白き花」「紐につかまる雨蛙」「青い目をした黒猫」
「蠟梅を活けて迎える春」「侘助の花」「青磁色した薄氷」「百済渡りの壺」
「夜の携帯電話」「新調した手帳と携帯電話」「昔は健脚だった夫」
「70億人の住む地球」「陽の匂い・闇の匂い」「精米・白米・母の匂い」
「初めてのテレビ画像の『イ』の字」「テーラーと呼ばれた叔父」
「幾人との別れのあと見る椿の蕾」「津波を経た三陸のワカメの匂い」
と自然詠あり、人事あり、心象詠ありで多彩だった。


3・論点:

「言い過ぎてはいないか」「細か過ぎないか」
「具体が必要な場合と不要な場合がある」「テレビ映像を素材としたものは弱い」「使役表現は間接的で印象が弱い」「感想から一歩出る必要がある」
「用語が甘くはないか」「いきなり過去形にするのは弱い」
「ひとり飲み込みではないか」「『黄』の濃度にもいろいろある」
「素材はよいが皆に伝わる工夫が必要」「やや大袈裟で、何となく的確でない」
「オノマトペは一考の余地がある」「記録にはなるが抒情詩になっているか」
「面白さに乗っかって物語性のみの強調になっていないか」「現場体験を大切に」「疑似体験は弱い」「映像短歌・時事心象も弱い」など容赦ない批評が飛びかった。


4・今回の収穫:

 歌会の詠草は事前に送られて来るが、今回の詠草は力作揃いで驚いた。批評も熱を帯びた。以前は「着眼点はいいが工夫の余地がある」という作品が多かったが、今回は、会員ひとりひとりが着実に表現力を身につけているのをひしひしと感じた。岡井隆ほか何人もの歌人が言うとおり、「続けるのが一番大事」。問題はどう続けるかだろう。





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