屋外木材講座12 「素材」
私が考える木材は、「有機物」であるということを前提としています。つまり、「腐る」ということです。
近代建築の基本に「鉄」「ガラス」「コンクリート」という三大素材が、あります。この3つの素材を使うことで「近代建築」が成り立っていると言うことです。
この3つの素材は、建材としてさまざまな優れた要素持っています。「品質管理」「大量生産」「価格」などです。
この3つの建材が出現する前は、「木」「竹」「草」「レンガ・瓦」「石」「土」などです。日本には「紙」もあります。
日本の建築の「築」と言う文字を見てください。
「築」
この文字には、「竹」「土」「瓦」「木」と言う文字が、組み合わさっています。
この文字は、建物を作る素材です。
近年、天然素材、自然素材などと言っていますが、この素材を本当に極めている建築関係者が、何人いるのか?
かわいそうなのは、何も知らないユーザーなのです。
「木」ひとつでも、屋内と屋外では技術が、違うことをこの講座では知って欲しいと11回ほど書きましたが、まだまだ書き足りません。今後実例を含めながら回を重ねていきますので、よろしくお願いします。
「木」という素材だけでも、知らないことが、たくさんあるのです。
近代建築の「鉄」「コンクリート」「ガラス」は、産業革命以降大量に安く、品質も管理できるようになりました。職人の素材から、工場の素材に代わって言ったのです。しかし、その中で暮らす人間は、当然「有機物」であることを認識し始めました。
有機物が、無機質の中で長時間暮らすことの難しさを知ったら・・。
有機物を求めるのです。
少しでも、有機物に触れたい。有機物を見たい。有機物に囲まれたい。言葉に出さなくても、本能が、そうしたいと感じるのです。
しかし、全てを天然素材に、全てを自然素材にということもナンセンスだと思っています。
有機質と無機質は、自然界には、どちらとも存在します。
鉄とコンクリートとガラスでできた近代建機築の建物を否定することもしません。また、鉄をまったく使わない木造建物を賞賛する方も否定することはしません。
私は、「バランス」だと思うのです。
「適材適所」と言う言葉があります。
屋外木材は、この「適材適所」を見極めることが大切でこのことができないとすぐにしっぺ返しが来る建材なのです。