破綻コダック、再建の道筋は多難 切り札の新事業打ち出せず
米写真用品大手イーストマン・コダックの経営破綻が米社会で衝撃を広 げている。かつて世界を席巻した「フィルムの巨人」がデジタル化の大波にのみ込まれた構図は、ひとつの時代の区切りを印象づける。写真文化を普及させ、映 画など米カルチャーを支えた足跡も小さくないが、再建の道筋は多難だ。
◆デジカメ開発の皮肉
「コダックが変わるため、必要な措置だったと信じている」
19日に連邦破産法11条の適用を申請したコダックのペレス会長兼最高経営責任者(CEO)は強気を装ったが、130年以上の歴史を誇る名門企業の栄華と転落の落差は鮮明だ。
創業者、ジョージ・イーストマンが写真用乾板の商業生産を始めたのは1880年。8年後には、フィルムを装填(そうてん)したカメラを「コダック」の商標 で売り出し、1935年には業界標準となるカラーフィルムを発売して話題をさらった。業界での存在感は圧倒的となり、コダックは2004年まで実に70年 以上もダウ工業株30種平均の構成銘柄であり続けた。
「コダックイエロー」と呼ばれた黄色いパッケージの写真フィルムが市場にあふれ、首 都ワシントンの写真用品店は「コダックは別格。黙っていても毎日何十本とフィルムが売れた」と往時を懐かしむ。1995年には手軽に撮影できるポケットカ メラを発売するなど、一般家庭に写真を浸透させたのもコダックの功績といえるだろう。
89年には世界初の透明な映画用ロールフィルムを発売するなど、映画産業にとっても欠かせぬ存在で、ウォールストリート・ジャーナル紙のコラムニスト、ジョン・バッシー氏は「20世紀における伝統的な米国ブランド」とまで形容する。
だが、80年代に入って富士フイルムなどライバルとの競争が激化。さ らに皮肉なことに75年にコダックが初めて開発したデジタルカメラの普及が、業績の落ち込みに拍車をかけてしまう。デジカメ関連の機器開発でも後手に回 り、写真のデジタル化を徹底して追求したライバルに対し、「中途半端な多角化」(アナリスト)がかえってあだになった格好だ。
◆改革と先進性が必須
今後のコダックだが、当面は米金融大手シティグループから9億5000万ドル(約730億円)のつなぎ融資を受け、裁判所の管理下で再出発を図る。不採算事業を整理し、プリンター事業を中核に据えて、2013年中の再建手続き完了を目指すとしている。
だが、プリンター市場もライバルとの競争は厳しく、代わって切り札となるような新事業も打ち出せていない。
再建を後押しする資金を確保するため、長年蓄積した「虎の子」の保有特許のうち、1000件以上もの売却交渉を進めているが、買い手探しは難航。特許の切 り売りだけでは展望は開けそうもない。コダックは03年以降、4万7000人に上る人員削減と13カ所の製造拠点の閉鎖に踏み切っており、リストラ余地も 乏しい。
昨年末に取締役3人が相次ぎ辞任するなど、混乱続きの経営体制の立て直しも急務だ。法的整理を選んだペレスCEOは「構造改革を断行するための重要な一歩」と強調するが、自身の経営責任も問われている。
再建のため市場を納得させられる“青写真”を一刻も早く示せなければ、ブランド価値は傷つき、顧客や投資家の離散を食い止めるのは難しくなる。かろうじ て、市場からの「退場」だけは拒んだコダックだが、時代の変化を先取りするほどの改革が打ち出せなければ、いずれ「功績」だけが語られる存在になり果てる だろう。(ワシントン 柿内公輔)
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