*ウサギのお部屋*

日記・レビューなどなど。
最新日記は数日後に非公開にします。

須永誠「太宰治と仙台」(2019)

2023年04月12日 | 
 
本屋で見つけたけど買わずに図書館で借りたの巻。なぜならすぐに借りられるから。
太宰さんがやっぱり気になってる私です。
ここに紹介されてる作品を読んでみようかなー。

太宰と仙台に何の関係が? って思うでしょう。私も思った。
青森県出身だから、同じ東北なのは分かってたけど、なぜに仙台? ってね。

戦時中に、なんかそういう気持ちを高める、士気を高めるための作品を、政府が作家に依頼して書かせるみたいなことがあったらしい。んで、太宰は、その中の一つのテーマを選んで、魯迅さんがモデルの「惜別」を書くことにした。
魯迅は、今の東北大学医学部に当たる学校に留学していた。
で、それの資料を見るために、仙台市の新聞社、今もある、河北新報社を訪れて、魯迅さんがいた頃の仙台の市民の暮らしだったり、その学校の行事が紹介されてる記事だったりを見て、メモしていった。
そのメモも公開されてる。すごい。歴史的資料。

著者が、この河北新報社の人で、出版社も同じ。
自分のところに資料がある。だからできること。

戦中に誰よりも精力的に作品を発表していたのが太宰だった。
検閲を簡単にくぐり抜けて書いてたんだって。すごいな。
いろいろなものを翻案というか、自分なりに書き直して自分の作品にするみたいのが得意だったみたい。その中に自分を入れ込むとか。

何だっけな、「御伽草紙」とか。舌切り雀は仙台が舞台なんだって。
そうだよ、スズメ踊りってあるもん。なるほど、そこが繋がったー。

あとは、戦後に初めての新聞小説を連載したのも河北新報だった。
「パンドラの匣」
戦中にも書いて焼失した作品を戦後にもっかい書き直したんだそうです。
大きく時代が動くときに作家は何を思ったのだろう。

あとは、弟子も、仙台出身の人が多かったんだって。
なるほどでした。