「奇跡の一本松」といえば、モニュメントになった岩手県陸前高田市が有名だが、
南相馬市鹿島区にも東日本大震災の津波に耐えた「かしまの一本松」があります。
あの津波で何もかも無くなった海辺に、ポツンと立っている木は、
高さ約25メートル、根回り約2メートル。
今は葉も無く、幹は傷でボロボロ、もうすでに枯れてしまっています。
震災前は海辺の集落を守るように数万本もの松林があったというが、
震災で集落は流失、54人が犠牲となる壊滅的な被害を受けました。
地元の人々の希望の一本松、大切に見守ってきたが、
防潮堤防が壊れ、海が荒れると一本松も海水に浸され命つきてしまった。
堤防の再建工事やかさ上げ工事のために伐採が決まったようです。
でも、一本松のまつぼっくりから小さい芽が育っているそうです、
この子孫たちが、逞しい松に育ち、集落を守る林となることを祈ります。
何もない広大な土地にソーラー発電の設備が拡がっていきます。
一本松はどんな思いでこの光景を見ているのでしょうか?
Google マップのストリートビューで「かしまの一本松」を検索すると、
もう少し元気だった頃の様子が見えます。
かしま福幸商店街、
移転や店じまいで、営業店も少なくなり、
復興商店もその役目を終えようとしているようです。
鹿島区の勝縁寺さんのお堂をお借りし、私達の仲間「退職者の会福島支部」の方達に
震災時、そして今の様子をお聴きしました。
自宅に避難者を受入れた時のこと、
差別や不安に苦しむ避難者の心情、
除染、廃棄物の処理のこと、
空き家を荒らす盗人たちのこと、
街灯は新しくなり輝いているが、家の灯りの増えていかない町、
子供や孫の事を思うと戻れない人々のこと、
話は尽きません。
この地で困難に立ち向かっている人の生の声、
年月を経て、淡々と語れる彼らに、
聴いている私の方が胸が詰まってきます。