《就学相談会》
「…コミュニケーションが苦手だから…」
「…まだひらがなも読めないし…」
「…45分も座っているなんてできないと思う…」
「…分からない授業を聞いているのはかわいそうかな…」
毎年、就学相談会で聞かれること。
三十年前もいまも、6才の子どもの親が言葉にする不安は同じです。
若いころの私は、その不安の一つ一つを打ち消すのに必死でした。
「言葉なんて話せなくてもコミュニケーションはできるさ」
「先生の授業の言葉は分からなくても、子どもたちの生き生きとした反応はわかる。子どもたちと先生との授業という生活が、いかに生き生きとしているか、楽しさや真剣さや笑いや緊張を一緒に感じることがどれほど大切か」
そんなことを、必死で「説得」しようとしていた時期があります。
ここで、親の迷いをなくさなければ、子どもの一生が左右されることになる…。
その子どもにとって、これが唯一のチャンスかもしれない…。
若気の至りというか傲慢というか(・.・;)
でも、ある時期から、「不安や心配が解消されれば普通学級を選べるわけじゃない」らしい、ということに気づきました。
そもそも、何の情報も持たないときに、勉強の不安やいじめのことや、心配だらけのさなかに、「この子をみんなといっしょに一年生にさせてあげたい」と、「思ってしまう」ところから始まっているのです。
そうでなければ、新聞や情報誌の小さな「案内」に目がとまることもないでしょう。
そして、就学相談会に参加したとしても、結局のところ「不安」や「心配」をあふれるほど持ったまま、入学式を迎えるのです。
そんな不安を抱えながらも、「普通学級」に向かうのはどうしてなんだろう。
普通学級なんて無理だと考えながら、普通学級と思ってしまうのはどうしてなんだろう。
親自身が、そこに確かな意味を感じているのでなければ、こんなふうに毎年同じ思い、同じ迷いを持ちながら、子どもへの同じ「信頼」を感じてこなかったような気がするのです。
それはまた、「障害」とか「できる・できない」とは、別のことのような気もします。
(つづく)
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