☆年が明けて、４月からの入園説明会の案内が届いた。
「同じ幼稚園だから、別に行かなくてもいいんだけど、どうしようか？」
一応、ニィに聞いてみた。
ニィは「んー」と迷いながらも、行くことにした。
無理しなくてもいいんだよと、こちらは気を遣っているつもりが、
その分、幼稚園の話題が増えてしまっていた。
今日、ニィが言った。
「おかあさん、もうようちえんのはなししないでよ。
ニィ、ゲボしそうだよ」
(・。・)
☆２月の終わり。
ニィは自分から、『わたしようちえんにいくの』という絵本を開くようになった。
絵本の中では、はじめて幼稚園にいく女の子が、いろんな心配を口にする。
「ひとりで くつ はけなかったら どうしよう…」
「でも やっぱり しんぱい。おともだちと なかよくできるかしら…」
ニィは絵本をめくりながらつぶやいた。
「だいじょうぶだよね。ニィにきいてくれればよかったのに！」
少し離れたところで、かみさんがクスッと笑ってしまい、
「どうしてわらうのよ」とニィに怒られた。
次の夜も、その次の夜も、
ニィは「わらっちゃだめだよ」と言いながら、
その絵本を持ってきた。
ニィの心のなかでは、
いろんな思いが果てしなくて広がっているんだろうな。
