《就学相談会・6月30日と7月7日》 D
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『就学にむけて、いま気になっていることはありますか?』
アンケート3つ目の質問になると、言葉遣いが変わる。
「自分の思いを伝えるのが苦手」「文字をかくのが苦手」と、子どもの「できない」ことに焦点があたる。あるいは「就学先の選択は、何を基準にすればよいのか」「ふつう学級と支援級のボーダーラインは?」というふうに、どこかに「正解」があるかのような問いになる。
これだと、「適切な教育環境」を「知っている」誰かがどこかにいることになる。
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そんな人間はどこにもいない。子どもの「障害」が分かれば、「ふさわしい教育環境」が分かる、訳ではない。それは「医学モデル」と呼ばれたやり方。胃のことなら胃腸科、肌のことなら皮膚科、耳は耳鼻科のように、「何科を受診すればいいですか」という問いなら、「この子」を知らなくても答えられる。
でも、学校生活は身体の「一部」ではない。「子ども時代の生活、遊び、学び、人のつながり」といった子どもの「すべて」を含み込んだものだ。だから、「この子」を知らない人は、「答え」を持たない。
「人生6年のすべて」、「どこでどのように生きてきたか」、その情報を持たない人間は、この子の「これからの人生100年」にかかわる学びの場を決めようがない。
だからこそ、決めるのは「本人」(保護者)なのだ。