【ようこそ就学相談会へ】
《45分のはなし》(その1)
就学相談会で、45分座っていられるか心配…という声を聞く。
「座っていてほしいのはどうしてですか?」
この子が叱られないように…。
この子が困らないように…。
この子が傷つかないように…。
できないと、この子が自信をなくすから…。
自己肯定感が育たないから…。
みんなと一緒にいられなくなるから…。
■
初めての一年生の教室で、この子が45分座っていないとき。
それだけで、「ふつう学級は難しい」という先生がいる。
そして、「・・・そうですよね」とうつむく親がいる。
子どもの行動と思いは、どんなふうに理解されているだろう?
ぜんぶ「障害」のせいだと思ってる?
ちがうよ。
もし「障害」のせいなら、2年生になっても、6年生になっても「45分座れない」ことになる。
でも、そんな話は聞かない。
はじめての場所の、はじめてのルール、はじめての時間割、はじめての教科。
自分の身に何が起こっているのかを、納得して生きるには、たくさんのことを探らなければいけない。
だから、初めての環境で、「自分の身に何が起こっているか」を、自分で確かめるための時間は、一人ひとり違うということ。
よくわからないまま、「先生の言う通り」にすることが「できない」こと。
それは、「障害」というより、「自分の身体の声に正直に生きる」ということ。
だから、本人の納得を飛び越えて45分座らせることが、この子を守ることにはならない。
まして、学ぶ喜び、共に生きる喜びを伝えることにはならない。
そんなことは、保育園で共に育った仲間たちには、了解済みのこと。
■
「これができないと、あなたには1年生の資格がない」
結局のところ、その脅しは、一人の子どもを抜き出して、すべての子どもを脅す手口でしかない。
この子のペースを待てない、許容量の少ない大人。
「自分の納得を大事にする生き方」を奪い、「ショウガイ児だから」という怖れを植えつける大人。
学校の手口はいつの時代も同じ。
不登校になる子には、「あの子はフトウコウだから」という怖れを植えつける。
いじめられている子には、「イジメられる理由がある」という怖れを植えつける。
大人が植えつける怖れこそが、子どもたちの成長を阻む。
(つづく)
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