障害をもつ子どもの中には、幼いころから、
まず自分を監視することを、
生きるスタイルとして身につけることがあります。
小さいころから、大人の一方的な療育的まなざしを浴び、
その「矯正されるべきもの」へのまなざしを、
自然に自分の内側に取り込みます。
そして、その外側からの目で、
絶えず自分を監視するのです。
子どもが、ふつうに「いい子かどうか」を気にするのとは違います。
では、自分を監視しながら、子どもは何をしているのでしょうか。
この社会に適応するために、周囲の人のまなざしや反応、
ちょっとした状況を手がかりに、
自分の「行動」を絶えず修正するために
自分をコントロールしています。
「ありのままの自分をさらしてはいけない、
ありのままの感情を表に出せば、周りの人から笑顔が消える、
期待を裏切ることになるから」
それは自分自身でも辛いことであり、
受けとめられない自分を思い知らされるよりは、
本当の自分をさらさないようにすることが自然になります。
注意深く周りを見て、自分を監視すること。
それは、自信のない自分を覆い隠すために、
自分を守る手段でもあります。
「自信がない」のは、勉強ができないとか、
うまくしゃべれないから、歩けないから、ではありません。
何か、人よりも能力が劣っているからではありません。
それ以前の、ありのまま、無力で未熟であることが当たりまえの、
「赤ちゃんの自分」さえ受けとめられる価値がないと
思い込まされた子ども時代の、
「自己受けとめの関係障害」によるものです。
だから、自分には、「できる」ことで評価される以外に、
受けとめてもらうチャンスはないと思い、
「それならば、最大限、そのことに努力して、がんばって、
この≪自分を受けとめない≫社会に、適応する以外に道はない、
と理解するのです。
それが障害児の生きる術のひとつです。
「苦痛への適応」、という生き方を選ぶことしか、学べなかったのです。
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