《0歳からの就学相談会 2021》
プロローグ ③
《3歳の君へ》
初めての幼稚園はどうかな?
楽しくやってるかい?
それとも家にいた方がお気楽かな。
君には初めてばかりで、不安だらけの世界かもしれないね。
でもね、子どもはわがままで、わるい子で、くそがきでいいんだよ。
子どもには風変りな特権があるんだ。
だから、この世界では、歩けなくても、見えなくても、聞こえなくて、話せなくても、息することがうまくいかないときも、つながり一つあれば大丈夫。
たとえば、注射って聞いただけで逃げたくなる子もいるよね。
やっちみたいに、ピューって逃げられる子はうらやましいかい。
なっちみたいに、やだって体当たりする子もうらやましいよね。
自分で動けない君はどうしよう?
え、保育士さんが君を連れて逃げてくれるの? そりゃいいね。
でも看護師さんが追っかけてくるよ。
お医者さんが注射もって走ってきたら怖いね。
結局、動けない君は注射されちゃうのか。泣いちゃうね。
でも泣いた後はきっと笑えるよ。
思い出してごらんよ。君を抱いて逃げる保育士さんと、注射をもって追いかけるお医者さん。
トムとジェリーみたいで、なんだか楽しいね。
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君は、わがままでいられているかい。
あまえていられるかい。
いつもいい子にしてなくていい。
いやなときは、いやって言っていい。
いい子? わるい子? わがままな子? 成長の遅い子?
なんと呼ぼうとかまわないけど。
みんな違う子どもなんだから、違いはある。
だけど同じは、もっとある。
そのままでいいんだよ。
もう一度言うよ。
違いはある。だけど同じはもっとある。
同じと見られながら、違いを磨く場を、ふつう学級というんだよ。
そのままの君を、待っているね。