《ai》(その1)
3月19日。我が家の○も小学校を卒業しました。
そりゃもう、体育館が割れるような拍手でした。
担任の先生が、
「素晴らしい子どもたちでした。
この子たちと一緒に中学校に行くんです。
お母さん、大丈夫です。」
三か月前、校長先生が、
「就学猶予」の話をしていました。
「でも、今年度は、一人残らず、全員卒業させます。」
なーんか引っかかるもの言いに、
今時、就学猶予なんて…?という気持ちでした。
最近の朝日新聞、おかしいですね。
○の卒業式を見せてあげたかったな。
いつも話したことのないクラスメートのお母さんが、
「…私だけの考えなんだけど、○君、
一年生からみんなと一緒のクラスにいた方がよかったんじゃない。
息子も、そう話してる。中学も一緒に行けること、喜んでいるよ。」
特学にいた当時、学校や道すがら、
挨拶しても、冷たく無視するお母さんでした。
その訳が、なんとなくわかりました。
「子どもはね。一緒がいいのよ。同じ学校にいて、
分けられるなんて。最低の教育よ。」
驚きました。
人の思いは、解らないものです。
そして、「一緒かいいね」は、
当たり前にみんなが望むことなのです。
昨年春、てんかんを理由に、特学に転籍した子のお母さんが、
「普通学級に戻るには、どうしたらいいのかしら」
と尋ねてきました。
私のつたない経験を話し、「できる」と伝えました。
この春から、○の卒業した小学校には、
実質、普通学級だけになるのだそうです。
「通級」という形は残るようですけどね。
《ai》(その2)
高校の授業料を無料にするより、
いっそ高校も義務教育にしたらいいと思いませんか?
と言うと、ほとんどの人が、
「全くだ。その方がいい」と答えます。
yoさんが前から提言している通りです。
こんな田舎でもそういう人が多いのだから、
全国では、もっといらっしゃるのではないでしょうか。
さて、話は変わって、
一度も障害児と接したことのないまま高校・大学に行き、
短い実習期間を経て、医者、学校の先生、学者、
福祉関連の仕事に就くとして…。
「私は専門家ではないので、対応できません。」
「私は、そんな子どもを持ったことがないのでわかりません。」
「こういう子どもは、別な学校に行った方が本人のためです。」
と言いたくなるのは当たり前だと思いませんか?
昨日の飲み会で、聡明な人と信頼厚いお母さんが、
「発達障害の定義が今いち解らないのよ。
幼かった頃の私は、まさにそのままだわ。」と憤慨していました。
「生きにくさを抱えているのは、
何も障害のある子だけじゃないでしょ。
困難さを助け合い補い合って生きるのが社会でしょ。
専門家だけが助けるわけ?」
中学の校長先生の語った言葉が、全てを物語っています。
「○君の小学校から来る生徒は、全く心配いらないんです。
ところが、ここ(○の入学する中学校)には、
別の小学校からも生徒たちが集まって来ます。
○君より、○君に初めて接する子たちへの対処の方が大変です。」
「大丈夫。心配いりません。」
ということを伝えに、明後日、
○を連れて中学校に行ってきます。
事前の準備とご挨拶を兼ねて。7日が入学式です。
《yo》
aiさん、○くんの小学校卒業おめでとうございます
子どもたちの世界はやっぱりいいですね。
○くんが特学から普通学級へ移るときの大変さを
会報で読んでいましたが、やっぱり普通学級はいいですよね。
地方で一人でがんばるのは、仲間がいっぱいいる場所と違い、
とてつもなく大変だと思います。
でもどんなに大変でも、どんなに苦労しても、
やっぱり普通学級でよかったねと思えるのは、
子ども同士の豊かな関係に出会えるときですよね。
aiさんの数年前の苦労の日々と、
ハルくんのお母さんの養護学校からの転校の苦労が重なり、
今回の卒業の喜びが、ハルくんの転校後の喜びに
すぐにも重なるようで、幾重にも嬉しくなりました。
今年の春は、本当に嬉しい知らせがたくさん届きます。
中学校の話、他の小学校から来る子どもたちの
「心配」(大人の不安)は、いつの時代も
まことしやかに語られるけれど、
ほとんどの場合、予想は外れますよね。
もちろん、初めて「障害のある子ども」に
初めて出会う子が「戸惑う」ことはあるでしょう。
「こわい」と思う子もいるでしょう。
でも、その「こわい」は、差別とは違います。
中学1年生にとって、中3の生徒だって
ずいぶん大人に見えて「こわい」存在です。
中学の先生も、小学校の先生とはまったく違い、
最初は「こわい」先生が多いでしょう。
その中に、「見慣れない」子がいて、大きな声を出していれば、
はじめは「こわい」と感じるでしょう。
でも、それも初めだけです。
その「受けとめる」経験をしていない、私たち大人や、
学校の先生だけが、
「いまどきの中学生が障害のある子とつきあえるだろうか」
などと、心配するのでした。
「いまどきの中学生」の心配を、私は、10年前も、
20年前も、30年前も、同じように聞いてきました。
でも、それは「いまどきの中学生が、いともかんたんに、
障害をもつ子どもが普通学級にいることになじんでしまう」
ことを知らないから、そう思うだけのことです。
「子どもたちが、いとも簡単に受けとめていく条件」
は、ただ一つ。
障害の種類とか、重いとか軽いとか関係なく、
先生たちが「普通に受けとめているかどうか」、
それだけです。
そうした学校では、同じ小学校の子どもより、
他の小学校からきた子どもたちの方が
関係がいい場合も少なくありません。
それは、同じ小学校の子どもの場合、
一緒にいるのがあたりまえすぎるからでもあります。
これも、私の経験上、確かなことの一つです。
そんなわけで、aiさん、
中学校での○くんの活躍報告を楽しみにしています。
3年後も楽しみですね。
そのころには、高校も
希望者全入になっているといいのですが…。
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