昨日は高校相談会でした。
久々にジュンくんが来てくれました。
ジュンくんは、千葉で初めて「浪人」して
高校を目指してがんばってくれた子です。
しかも、3年も。
いまはもう31歳のおじさんです(-。-)y-゜゜゜
相談会の間、ジュンくんは一番前の席に座っていました。
その隣に座っていたのが、今年中学3年のアイちゃんでした。
私がアイちゃんに出会ったのは9年前。
小学校の就学相談会でした。
私はその二人を見ながら話を始めました。
そしてジュンくんを紹介するときに、
自然とこんなふうに話しました。
千葉では今までに93人が高校に合格しました。
千葉でいま、障害があっても当たり前に高校生に
なれるようになってきたのは、ジュンくんのお陰です。
浪人してまで、高校に行きたいんだと
がんばってくれたおかげです。
3年も高校に行きたいと、
がんばりつづけてくれたおかげです。
いつも、誰かが声をあげなければ、
この子たちがふつうに歩ける道はできません。
ジュンくんの思いが開いた道は、
まっすぐにいまにつながっています。
その後、ジュンくんのお母さんが、こんな話を教えてくれました。
ジュンくんが3浪の後に合格したことは、大きく新聞に載りました。
笑顔のジュンくんの写真つきでした!(^^)!
アイちゃんが生まれたのは、その年でした。
アイちゃんのお母さんは、
その新聞記事をみて電話をしてきたそうです。
「障害があっても、高校生になれるんですね」
◇ ◇ ◇
そう、アイちゃんが生まれた年に、
ここ千葉では、障害があっても当たり前に、
堂々と高校生になれる道が拓かれたのでした。
だから、アイちゃんとお母さんは、
その希望につながる道を迷わずに歩いてこれたのでしょう。
ジュンくんが高校に合格してから
15年という時間の長さを、あらためて思いました。
ジュンくんが、「0点でも高校へ」という
未開の地へ足を踏み入れたとき、
ここに、「道」はありませんでした。
中学3年生での初めての受験に落ちて、
一年浪人して、ようやく一歩めの足跡が、
地面に一つ残りました。
二年浪人して、やっと二歩、両足の足跡が残り、
三年浪人して、ようやく高校に続く道を歩くことができたのです。
それから、しばらく、子どもたちは、同じように、
一年、二年、三年かけて、自分一人がようやく歩ける道を、
拓いてきました。
そうして、ようやく、私たちは、
いま、ここ、まで歩いてこれたのです。
振り向くと、111人の子どもたちの足跡が、
私には見える気がします。
ジュンくんが高校に合格した年に、アイちゃんは生まれました。
そう、ジュンくんが中3のとき、
アイちゃんはまだこの世にいなかったのです。
ジュンくんが一年浪人して一生懸命道をつくっているとき、
まだアイちゃんはこの世にいませんでした。
お母さんとお父さんに出会うのを、
この星のどこかで待っている命のかけらだったのでしょうか。
それとも、どこか遠い世界の雲の上で、ほおづえをついて、
この世に生まれるのを待っていたのでしょうか。
どちらにしても、ジュンくんが2年目の浪人生活を
送っているあいだも、
3年目の浪人生活を送りながら道を作っているあいだも、
アイちゃんは、まだこの世にいませんでした。
アイちゃんが生まれた年。
ジュン君はやっとやっと高校生になれました。
ジュン君が高校に合格したこと、
それはジュン君の笑顔と一緒に新聞に載りました。
アイちゃんのお母さんは、その新聞記事をみて、
ジュンくんのお母さんに電話をしました。
生まれたばかりのアイちゃんのそばで、電話をしたのでしょうか。
「障害があっても、みんなと一緒に高校にまでいけるんですね」
ジュン君の作った道は、
いまアイちゃんの目の前に確かにあります。
まだ、舗装もされていないし、
水たまりやでこぼこがいっぱいの道だけど、
たくさんの子どもたちが歩いた足跡が
いっぱいいっぱいついた道が、
アイちゃんの前には、確かにあります。
足跡のひとつひとつに物語がつまっています。
一人の子どもの「受験生」の苦しみと希望と、
涙と笑顔の物語がつまっています。
この子を、高校に入れてほしい。
この子が、安心して学校にいけるようにしてほしい。
ちゃんと、この子も、クラスの一人として、
楽しくすごせる学校にしてほしい。
私たちは、もっともっと、「わがまま」に、
この子一人を大事にしてほしいと、
堂々と、みんなで声をあげていいのだと思います。
いま、ひとりの子どもを、大事にすること。
ひとりの子どもが、大事にされること。
それは、これから生まれてくる、
未来のすべての子どもを大事にすることにつながります。
わたしはこころの底から、そう思います。
アイちゃんたちの受験の一年が、いよいよ始まりです(^^)/
今年もいっぱい応援、よろしくお願いします。
コメント一覧
ありんこ
ai
最新の画像もっと見る
最近の「0点でも高校へ」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
- ようこそ就園・就学相談会へ(472)
- 就学相談・いろはカルタ(60)
- 手をかすように知恵をかすこと(28)
- 0点でも高校へ(395)
- 手をかりるように知恵をかりること(60)
- 8才の子ども(161)
- 普通学級の介助の専門性(54)
- 医療的ケアと普通学級(90)
- ホームN通信(103)
- 石川憲彦(36)
- 特別支援教育からの転校・転籍(48)
- 分けられること(67)
- ふつう学級の良さは学校を終えてからの方がよくわかる(14)
- 膨大な量の観察学習(32)
- ≪通級≫を考えるために(15)
- 誰かのまなざしを通して人をみること(133)
- この子がさびしくないように(86)
- こだわりの溶ける時間(58)
- 『みつこさんの右手』と三つの守り(21)
- やっちゃんがいく&Naoちゃん+なっち(50)
- 感情の流れをともに生きる(15)
- 自分を支える自分(15)
- こどものことば・こどものこえ・こどものうちゅう(19)
- 受けとめられ体験について(29)
- 関係の自立(28)
- 星になったhide(25)
- トム・キッドウッド(8)
- Halの冒険(56)
- 金曜日は「ものがたり」♪(15)
- 定員内入学拒否という差別(93)
- Niiといっしょ(23)
- フルインクル(45)
- 無条件の肯定的態度と相互性・応答性のある暮らし(26)
- ワニペディア(14)
- 新しい能力(28)
- みっけ(6)
- ワニなつ(351)
- 本のノート(59)
バックナンバー
人気記事