今年の相談会にも、0歳の子を抱いたお母さんがいた。
来年の4月に保育園に入れたいけど、「難しい」と言われたと。
「えー、そんなことないよ。大丈夫」と話す先輩の話を聞きながら笑顔になった。
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5歳の子の母親は、ふつう学級に一番反対しているのは父親だという。「いじめられるに違いない」と信じていて、支援学校を希望しているらしい。
ただその母親も、「ほっておかれたらどうしよう」「まだ何もできないのに」と、話すたびに涙があふれる。
「いま通っている保育園ではどんな問題があるの?」と聞くと、「何にもないです」という。
「それなら小学校も大丈夫だと思うけど」
「でも保育園には加配の先生がついているから」
「必要なら小学校でも支援の人はつくと思うよ。必要ならね」
母親は子どもがかわいくて、不安で、かわいくて、不安で、そんな思いがグルグル回っているようにみえる。しかも父親はふつう学級に関しては頼りにならない。そんなに不安で、泣きながら、どうしてここに来たんだろうと思っていたら、帰り際、「私、3回目か4回目なんです」という。
「え?」
「子どもが0歳の時にきたんです」
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その言葉を聞いたとたん、5年前の姿がぼんやり浮かんだ。
そして、今日の0歳の子の母親と、5歳の子の母親の姿が重なる。
0歳の子を抱いて、「ふつう学級の就学相談会」に来る親の思い。
0歳の子を抱いて、保育園も地域の小学校も通えると知る。
それから何度も何度も、ここにきて、同じ話を聞き、みんなの話を聞いてきた。話されている中身も、ふつう学級が大丈夫なことも、十分に分かっていて。それでも、はじめての子どもの入学への不安はなくならない。
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こんなにも愛されて、保育園のみんなの中で大切に育てられて。
この子がふつう学級でやっていけない訳がない。
0歳から準備してもなくならない不安、止まらない涙。
そんな不安と涙を抱えながら、子どもを地域のふつう学級に委ねようとする思い。この子たちがどれほど幸せな子ども時代を過ごしているかを思う。
こんな幸せな子どもと親に出会えるんだから、就学相談会はまだやめられないな。