署名のお願い
講演会の準備をしながら、
ある新聞記事のことを思い出しました。
9月2日の朝日新聞(夕刊)の記事です。
□ □ □ □
《DV相談窓口、生理用品に記載して…長男失った女性訴え》
「DV(ドメスティックバイオレンス)被害の相談窓口を、
加害者の目につきにくい、生理用品の外装フィルムに
記載いただけませんでしょうか」。
兵庫県の女性(47)は生理用品を売る東京の大手メーカーに、
こんな手紙を書き続けている。
自身もDV被害者。
それは、当時15歳の長男が元夫に殺害されるという
最悪の結末で終止符を打った。
1人で背負い込まず、だれかに相談していたら……
後悔してもしきれない思いが背中を押す。
元夫は03年3月、長男を刃渡り約11センチの
サバイバルナイフで刺し殺し、殺人罪で懲役12年の判決を受けた。
以前はごく普通の仲の良い家族だった。
食卓には笑い声が響き、年に数回は旅行に行った。
だが元夫は仕事などが原因で神経症になり、
ささいなことで逆上するようになる。
12年前から4年間、DVの被害を受け続けた。
「全部お前のせいやっ」。
たまに殴られることもあったが、病気が原因で、
自分が至らないのが悪いと思った。
だが元夫の行動はエスカレートした。
夕食が5分遅れた、車の中にツメ切りがない、
バイクの免許試験に落ちた……怒鳴り、
家の物を壊し、手がつけられない。
恐怖に耐えきれなくなり家を出た。
だが13歳だった長男は「パパのそばにいてあげたい」と残った。
長男は何度か「ママと一緒に暮らしたい」と伝えてきた。
元夫から「包丁、買うた」と脅されていた。
長男を奪ったら、どんなことになるかわからないとおびえた。
そして高校入学目前、長男は殺された。
死後、元夫が長男に日常的な暴力を加えていたことを知る。
長男は最後までそれを口にしなかった。
昨年秋。
山梨県であったDV防止のシンポジウムで
長男の被害を紹介してほしいと頼まれ、写真などを提供した。
見に行くと、DVについて説明したパネルがあった。
「加害者に心を支配されることもある。
怖いと感じたら、それがDV」。
ドキッとした。
まさに、私や。自分を押し殺し、
元夫におびえ続けたのはDVそのものではないか。
資料を読みあさった。
DV被害者は、加害者にコントロールされて
自分が悪いと信じ込み、事態を悪化させる。
早く気づいていたら。
自分のような人に、自分が受けているのは
DVだと気づいてもらう方法はないか。
考えたのが、女性だけが手にする生理用品に
相談窓口を掲載すること。
「バッグやポケットにしのばせて、外へ出た短い時間で電話できる。
毎月手にするものだから早い段階で気づくこともできる」。
昨年末、思い切ってメーカーに手紙を出すと、「検討する」と返事が来た。
今年2月から、
署名サイト(http://www.shomei.tv/project-769.html)で
ネット署名を募り、これまでに200人余りが応じた。
目標の1万人は遠いが、長男が応援してくれていると信じて
呼びかけ続ける。(染田屋竜太)
□ □ □ □
その日、ネット署名と言うものをはじめてしました。
新聞で200だった数字は、
私がニュースを読んで入れた時点で700代でした。
分刻みで入っている署名を見て、
さすが朝日新聞だよなあと思いました。
そのままの勢いで、1万はすぐにいくのだろうと思っていました。
でも、今日見たら、2041という数字でした。
ちょっと驚きました。
私たちが前回集めた署名は2万を超えました。
私たちの問題は「少数派」だからと思っていました。
だから、2万でもすごい数字だと思っていました。
もちろん、署名は「数」だけではない、と思ってはいます。
でも、2千というこの数字はあまりに少なすぎると感じます。
私が小学生のころには、DVという言葉はありませんでした。
でも、中学生が酔っぱらった父親を殺した事件のニュースを聞いて、
「自分もいつか、そんなふうにニュースになるかもしれない」
何度もそう思った記憶が、今もあります。
児童相談所で働いているときも、
同じ思いをしている子どもと会いました。
いまも、その思いを誰にも話さず、
ひとりで抱え込んでいる子どもが、
何人も、何百人もいるのだと思っています。
署名サイトのアドレスは
http://www.shomei.tv/project-769.html
です。
一度、開いてみてください。
署名を呼び掛けている方の文章を紹介します。
□ □ □ □
写真は、亡くなった息子が8歳のときに、私にくれた手紙です。
父親にしかられ、かばったやった私に
「ママ、みかたになって(くれて)ありがとう。
りょうちゃんもまもるからね」と、手渡してくれました。
その7年後、息子は盾となり私と娘を守ってくれましたが、
私は、息子を守ってやれませんでした…。
私がそうであったように、多くのDV被害者が
「自分さえ我慢すれば、乗り切れる」と思い込み、
事態を悪化させています。
でも、側にいる子供たちは、もっともっと我慢し、
つらい思いをしているのです。
お母さんは、早く、そのことに気付き、
子供たちを守ってやって欲しい。
私は、心からそう思います。
今、DV被害で悩んでいる方や、DVに気付いていない方に、
一日でも早く、信頼できる相談機関に相談して欲しいと願います。
私のような最悪の結末を迎えてしまう前に、
行動を起こしてほしいのです。
DV被害者は、外出時間を制限される場合もあり、
相談機関へ何度も足を運ぶことができません。
たとえば、女性だけが手にするものに、
DV被害の気付きを促す内容が掲載しされ、
相談機関の連絡先も掲載してあれば…。
その一番有効な方法として、生理用品の外装フィルムと
個包装フィルムを思い付いたのです!
生理用品なら、加害者の目に触れることなく購入できるし、
個包装をこっそりバッグやポケットに忍ばせ、
外へ出た短い時間で電話することができます。
また、毎月、ドラッグストアで手にするものだから、
早い段階で気付くことができるし、それなりの対処をすれば、
被害を食い止めることもできるかもしれません。
今、生理用品の販売会社に、この掲載をお願いしています。
私一人よりも、より多くの方の声を集めて、
お願いしたいと思っています。
どうか、ご協力ください。
よろしくお願いします!!
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川本 弥生
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