今日、千葉県の「県立特別支援学校整備計画」(平成23年3月)を見ていて、改めて特別支援教育という制度の残酷さを感じました。
子どもを障害で分けること(差別すること)が、1979年の「養護学校義務化」以上にこんなにも大々的に、おおっぴらにできるものなのかと感心さえしてしまいます。
その政策の規模や予算を見れば、少子化によって使用しなくなる小中高等学校の建物や教員をすべて「特別支援教育」に回すことで、現在の教育規模を保とうとしているんじゃないかとも思います。
そうした政策を進めるために、どれほど多くの子どもたちが、自分の居場所を失い、不本意に分けられていることか。
◇
まず、『計画策定の趣旨』には、こうあります。
【本県の特別支援学校では、児童生徒数の増加が著しく、それに伴う教室不足や施設の狭隘化(きょうあいか)の解消が喫緊の課題となっています。
(中略)…特に、知的障害特別支援学校においては、近年小学部や中学部の児童生徒数の増加も見られます。
…このような現状と課題に対応するため、今後の県立特別支援学校整備計画を策定するものです。】
一言でいえば、特別支援学校に子どもが「増えすぎている」から、もっともっと特別支援学校を作るというのです。
「増えすぎた子ども」とは、どのような子どもたちか。
計画には以下のように書かれています。
【(1)これまでの児童生徒数の推移
特別支援学校の児童生徒数は、…この10年間で1,521人増加し、平成22年度は5,337人(平成12年度の約1.4倍)となっています。
この増加の内訳を障害種別で見ると、知的障害特別支援学校の児童生徒が約99%とほとんどを占めています。
一方、肢体不自由特別支援学校においては微増、盲学校、聾学校及び病弱特別支援学校においては、横ばい又は減少傾向となっています。】
ここにはさりげなく、もっとも残酷なことが書いてあります。
10年で、「障害児」が1,521人増えた、1.4倍に増えた。
その増えた子どもの99%は、「知的障害特別支援学校」の子どもだというのです。
10年で障害児が1.4倍も増えるなどということはあり得ません。
その子どもたちの多くは、「特別支援教育」が始まったために、「分けられた」子どもたちです。
この乱暴な増やし方は、以下の考え方の実践以外の何物でもありません。
1961年、文部省発行の「わが国の特殊教育」より~
【 第1章 特殊教育の使命】
「…この、五十人の普通の学級の中に、強度の弱視や難聴や、さらに精神薄弱や肢体不自由の児童・生徒が交わり合って編入されているとしたら、はたして一人の教師によるじゅうぶんな指導が行われ得るものでしょうか。
特殊な児童・生徒に対してはもちろん、学級内で大多数を占める心身に異常のない児童・生徒の教育そのものが、大きな障害を受けずにはいられません。
五十人の普通学級の学級運営を、できるだけ完全に行うためにもその中から、例外的な心身の故障者は除いて、これらとは別に、それぞれの故障に応じた適切な教育を行う場所を用意する必要があるのです。】
(この項つづく)
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