ワニなつノート

子どもを分けてはいけない4つの理由(1)



≪北村小夜さんの、『子どもを分けてはいけない4つの理由』≫


1・ ≪子ども本人が分けられたがっていない≫ (その1)



私の住んでいる地域にいっちゃんという子どもがいました。
残念なことに「いましたと」言わなければならなくなっていますけれど、
いっちゃんは6歳になった時に、
まだバギーに乗ったきりで寝返りも自分ではうてませんでした。
勿論、言葉もありませんし、文字も書けませんでした。

両親は、多分この子が学校に行くとしたら養護学校だろうなと思っていました。
私とこのような集会で出会った時に、
「学校っていろいろあるのだからちゃんと見てから決めましょうよ」と言いました。

お母さんが最初に行かれたのは、新しくできた養護学校でした。
帰ってきて「どうだった?」と聞くと、
お母さんは「良かったよ」と言いました。
「何が良かったの?」と聞くと、
「だって、校舎は新しいし、先生は沢山いらっしゃるし、床にはじゅうたんが敷いてあるし、スロープはあるし、どこかに転がしておいても危なくない。こんな子が行く学校ができたんだから、いい世の中になったんだね。」とお母さんは言いました。
たしかに、少し前から考えればいい学校と言えるかもしれません。
でも私たちは「もっと学校はいろいろあるから」と言いました。

次にお母さんが行かれたのは、隣の学校に併設されている特殊学級でした。
帰ってきて、お母さんが「どっちにしようかな」と言うんです。
「特殊学級の何が良かったの?」と聞きましたら、
お母さんは、「遠くの方で、元気な子どもの声がするもん」と言うんです。

分かりますよね。
子どもって子どもの声に敏感ですよね。

お母さんは「養護学校に連れて行ったときより、はるかにこの子が反応した」というわけです。
「だったら、いっちゃんが元気だったら行く学校があるじゃないの。そこに行ってみようよ。」って言いました。

お母さんは、本当にしぶしぶ地域の学校に行きました。
でも、母親の感性とは素敵ものだと思うのです。
この子が何を感じるかということを自分が分かりたくて、
学校に入ったとたんいっちゃんをバギーから降ろして廊下に置いたんです。

学校というのは、校門入ったとたんに子どものエネルギーが伝わってきますよね。
独特の雰囲気がある。
たぶんお母さんはそれを感じたから、バギーから子どもを降ろしたんです。
そしたらいっちゃんが、元気な子どもの声のする方へ首を曲げようとした、
足音のする方へいざろうとしたと言うのです。
信じられません。
その時にいっちゃんがそんな事できたはずがないんです。
でもお母さんは、ほんのちょっとしたいっちゃんの目の輝きを見ているのです。

で、帰って来て、「地域の学校に決めた」と言うんです。
母親というものは素敵ですよね。
こういうずうずうしさを含めてね。
やっぱり親じゃないとできないことですよね。
もう養護学校への就学通知が出ていましたので、
それをお返しして新しく地域の学校の就学通知をもらうというのは
容易なことではありませんでした。
そういうご苦労をなさった方もあると思いますが、本当に大変でした。
でも、母親が決めたというんですから、
関わった以上は応援しないわけはいけません。
ほんとに大変でした。
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