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今回も引き続き「救急外来におけるバイタルサインの解釈」について考えていきましょう。
聴診間隙
高齢者では動脈硬化のため、聴診間隙(auscultatory gap)のある患者が多い。聴診間隙とは、コロトコフ(Korotkoff)音が消失する状態の範囲で、カフ圧を下げていくと聴こえていたコロトコフ音がいったん消え、再び聴こえ始める間隙のことを指す。聴診間隙を逃して、誤って次のコロトコフ音を最高血圧にとる場合は、最高血圧を非常に低く見積もってしまうことになる。
聴診間隙が大きい高齢者では、収縮期血圧未満の範囲でコロトコフ音が聴こえなくなるために、聴診法で測定するときにカフ圧が間隙内に留めると、収縮期血圧を低く見積もる恐れがある。
そのため、血圧を測定する場合には、まず触診法で収縮期血圧のみを一度測定してから、聴診法で正式に上下の血圧を測定するとよい。あるいは、信頼できる自動血圧計を用いてもよい。
静脈圧の測定
静脈圧を測定することにより、循環血液量の変化をリアルタイムに評価する事が出来る(第5のバイタルサイン)。一般的には、内頸静脈の最高拍動点の高さ(右心房からの垂直距離)を頸静脈圧(JVP)とする。ただし、内頸静脈は胸鎖乳突筋の下を走行し直視することができないので、注意深く頸動脈拍動と区別しつつ、体表皮膚の拍動である頸静脈拍動を同定する。
内頸静脈の拍動最高点の高さは「胸骨角からの垂直距離+5cm」で計測される。患者の身長により多少の違いはあるが、一般的に体位に関係なく、胸骨角は右心房より約5cm垂直上方にあるからである。
胸骨角から計測した頸静脈圧の高さ(垂直距離)は患者の体位によらず一定である。たとえば、胸骨角から内頸静脈の「拍動の頂点」までの垂直距離が3cmであれば、内頸静脈圧は3+5=8cmH2Oとなる。内頸静脈圧の正常値は3~9.5cmH2O(右心房より)である。胸骨角からはマイナス2~4.5cmである。
もし内頸静脈拍動を同定できなければ、直視可能な外頸静脈でも代用できる。ただし信頼性は落ちる。外頸静脈は2分岐して上大静脈に接続することと、静脈弁を有するため、右心房の圧を直接反映できないためである。手背静脈を使うこともできる。心臓の位置より下に置いた手を徐々に挙げていき、手背静脈が虚脱するポイントで止めて、胸骨角(または右心房)からの垂直距離を測ればよい。
今回は以上です、話変わって、沖縄県もやっと梅雨入りしました、梅雨入りする前の一週間は連日の晴天、気温も30度近くまで上がりましたが、梅雨入りとともに気温は平年並みに落ち着いて26度程度です、しかし、梅雨明けのあの暑さがやってくるのですね、では次回に。
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