バイタルサインのパールズ:低容量性ショックvs 敗血症性ショックの鑑別診断では呼吸数に注目せよ。
ショックバイタルのうち、急性期の現場でよく遭遇する鑑別は、「低容量性ショックvs敗血症性ショック」である。
このとき頻呼吸(>20回/分)がみられたら、敗血症性ショックを考慮すべきである(下記の表を参照)。
急性熱性疾患では、脱水と発熱が共にみられることが多く、ショックバイタルの原因として、敗血症性ショックの可能性があれば、Early goal-directed therapyの適応(CVラインの挿入にてSvO2の測定などにより治療管理を決定する)となる。
「脱水のみに頻呼吸なし!」と覚える。
一方、敗血症の急性期では発熱が無い場合や、逆に低体温の場合もあるので、体温上昇が無くても敗血症は否定できない。
むしろ、バイタルや意識レベルの急激な変化(いわゆる“急変“)では、常に敗血症を考慮し、ただちに敗血症ワークアップ(sepsis workup)を行う(血液培養を2セット採取し、痰・尿・組織液のグラム染色と培養を実施、起炎菌を適切に想定した抗菌薬の迅速な投与)。
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(表)敗血症性ショック→なぜ頻呼吸?
1)敗血症による乳酸アシドーシスにより、代償性呼吸性アルカローシスを惹起。
2)敗血症で増加した血中エンドトキシンやサイトカインが呼吸中枢を亢進(SIRS)。
3)敗血症の原因が重症肺炎の場合、呼吸不全により呼吸数が増加。
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徳田安春 | |
医学書院 |
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