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海への汚染水の投棄の目的は

2011-04-05 22:45:14 | 日本の被災対応
広報はいつの世でも、いかなる時も大切です。

広報とは、情報を出す事でも隠す事でもなく、意図してより“正しく”認識してもらうために、適切な情報の公開方法を取る手段です。


【 作業する“彼ら”の 難敵は・・ 】

福島第一原子力発電所の原子炉の問題は、危険な状態なままの原子炉を一日でも早く安全な温度まで冷やす事です。

ただ、現在行なっている様な外部から水を原子炉内に注入して冷やす方法ではなく、本来備えている冷却装置で安全に冷やす事がとても大切です。

しかし、その冷却装置を点検して修理して稼働させるには、タービン建屋内に
溜っている 高いレベルの放射性物質を含む水が問題になっているのです。

冷却装置を点検して修理するには、作業している “彼ら” が冷却装置や関連
装置の近くまで行く必要があるのですが、作業が必要なタービン建屋内に溜って
いる水は “彼ら”の 健康や生命に危険を及ぼすのです。

しかも、検査したところ、その溜っている水は 原子炉内から漏れ出ているもので間違い無いようです。

つまり、原子炉を冷やすために注ぎ続けている水が漏れ出して、修復作業を進行を妨げ、決して 原子炉へ水を注ぐのを止める事は出来ない、という 難問 の解決を “彼ら” は行なっている最中なのです。



【 今、世界が注目しているものは ・ ・ 】

現在、世界各国のメディアは 福島第一原子力発電所の事を 「 FUKUSHIMA 」と呼び、その処理状況や汚染状況にスポットライトを当てるように注目して報道しています。

日本国内の報道の様に 「被災された方々」 に対しての注目はさほどせず、常に 「FUKUSHIMA」 の事を報道し続けています。
これは、放射性物質が大気や海流によって拡散して影響を受ける事を恐れ、
その沈静化にその国の行政だけでなく国民も注目しているからに他なりません。



【 海へ 「汚染水」と言うけど ・ ・ 】

では、現在 放射性物質の漏えいで一番問題になっている点はご存知でしょうか。

そう、震災の影響によって原子炉から何らかの通路を経て、その冷却水が海へ
漏れ出している事です。
大変に高いレベルの放射性物質が含まれていて、近くに居るだけで危険なレベルのようです。
4/3付け 産経ニュース ・ 海への流出水、30分撮影した検査員の服から ・ ・

環境への影響を最小限に喰い止めるために、最も対処すべきなのが 1分間に
7リットル流出していると言われるこの水なのです。

そして、4月4日から始まった 「 放射線汚染水 」の海への放出ですが、こちらの
放射性物質の含有レベルは 「流出水」と比較して格段に低いレベルとの事。
4/4付け 産経ニュース ・ 低レベルの放射線汚染水を海に放出へ

放出を行なっている 「汚染水」は 1万1500 トンですが、この中に含まれる 放射性物質の量は、概算で (原子炉から漏えいしている)「流出水」 10 リットルに含めれている量に相当するとの事です。

いかなる放射性物質を含む水の海への混入は避けるべき事です。

しかし、より危険な 「流出水」 の流出を 1分でも早く喰い止めるために、原子炉の冷却作業を本来の形へと復帰させるために、より 危険性の少ない 「汚染水」 を放出する事を 現場の “彼ら” が選択しているとすれば、“彼ら”の判断に任せるべきではないでしょうか。


【 より良き 報道 を 】

そんな 選択や判断を、過酷な現場で行なっている “彼ら” を 正しく支援して、
その作業が円滑に進んでいく事を期待するためにも、 報道姿勢 には注文を入れたい。

東京電力が 低レベルの汚染水を海へ放出する事を記者会見で発表した際、
その担当者が 涙交じりで感情を出して発表した。
担当者の心情は分からないではない、しかし、“報道”担当者としては全く
いただけない。

上記の様に、 具体的な数値を正確に伝え、問題解決のための日数を少なくして、環境へ与える影響を最小限に留めるためには 最適と考えられる判断である事を、報道を見る人全員に正しく伝わるようにしなくてはならない。

それを意図せず、正しく報道しない報道が続くようであれば、余分な不安感だけが先行して、風評被害が拡大するだけである。

改めて、今回も伝えたい。

今回の事故は “国難” である。
従って、国は 二言目には 「 東京電力に ・ ・ 」 という姿勢を取らず、積極的に
より良い方向へ直接コントロールする姿勢へと改めるべきである。

今回の報道問題であれば、国家的な報道を担当し専任できる人を充てるべきである。

正しく国(行政)が指揮する事が出来れば、流出水 の対処についても 一度に
幾つかの対処方法を行なう事もできるでしょうし、 現場で作業する “彼ら”
の代替要員の手配もスムーズに行なえる施策もあると期待している。

どちらにして、震災以降、毎日過酷な現場で作業を続け、日本の未来を守り続けている “彼ら” の 判断や選択、作業 に対して不当な評価が加わる事だけは避けたいものです。

胸を張って健康なままご家族の元へ帰宅してもらうために、最大限の フォロー や 支援を行なう事は、処理作業を委ねている 私達が行なうべき責任だと思います。



【 幾つかの作業の進展もありました 】

幾つか、作業に進展があったという報道がありましたので、ここに紹介します。

◇ 流出水の量が 工夫した作業によって減ったようです。
4/5付け 産経ニュースより ・ 土壌凝固剤注入でやや減る

◇ 大成建設とは別に、他の ゼネコン も協力を開始したようです。
4/5付け 産経ニュース ・ 仮設タンク設置作業に ・ ・ ・


◆ 上記とは別の内容ですが ・・、 あの 米国であっても(だからこそ?)、
放射性物質は避けるようです。
4/5付け 産経ニュースより 米空母、原発で横須賀退避