東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業は、当初のスケジュールから大きく遅れる事なく、ほぼ順当な進行をしている様だ。
汚水水対策でマスコミを賑わせてきたが、稼働していなかった 4号炉の使用済み燃料貯蔵プールから燃料棒を取り出す作業まで辿りついている。
( 参照サイト : 11/7付け MSN産経ニュースより )
あれだけ放射線量の高い現場で、崩れ飛んだ天井の下でガレキに塞がれていた燃料プールだった事を考えれば、現場で働いている数多くの方々の苦労に感謝をするしかない。
ただ、国内だけでなく近隣諸外国から、汚染水を始めとして、あの現場での状況に不安を抱いている人が多くいるのは事実だ。
そこで提案したいのは、あの作業現場の解放だ。
【 机上の空論 】
2011年3月11日、あの災害が発生してから、あの悲惨な現場に留まり続け、少しでも被害を小さく留め、一日でも安定状態へと落ち着かせるために、自身の健康を顧みずに働き続けた人々がいる。
そして、廃炉作業を進めている今でも、数多くの方々が高い線量の被爆現場で働き続けているからこそ、私達は安心して任せていられている事を忘れてはならない。
しかし、「 東京電力が悪い 」とか「 政府の対応は不明瞭だ 」などと、現場で働いている人を無視したかの様に意見を出す風潮があるのは感心できない。
実際に、当時所長だった吉田さんは、現場に留まり続けた影響のあっただろう、被爆そのものによる影響は別として、過酷な現場でのストレスが健康を蝕んだ事には異論は無いだろう。
また、「 今現場で働いている人は高い報酬を貰っているし、何よりも他に多くの雇用が無い現状だから ・・ 」などと、正に他人事である。
高い報酬だとしても、単に過酷なだけでなく高い被爆で健康への心配のある環境で、しかも一定の累積被爆量を超えると働けなくなる事を忘れてはいけない。
現場も知らず、現場の過酷さを想像もせず、現場で働く人達の心情を想う事もせず、その上に
災害以来懸命に働き続けた人々に感謝の言葉を発しない人の言葉に、どれほどの価値があるのだろうか。
【 現場解放による可能性 】
今なお冷却が必要な溶け落ちた燃料のため、格納容器が破損している事もあり、冷却して生まれる汚染水は増え続ける一方だ。
また、廃炉作業自体もこれから何十年と続く作業になるのは間違いない事だ。
あのチェルノブイリの廃炉作業も、1986年の事故以来、今なお汚染水を発生させながら続いているのが現状だからだ。
また、1979年に同じく事故を発生させたスリーマイル島での廃炉作業も続いているのだ。
( 参照サイト : 11/7付け MSN産経ニュース )
ここで、先に書いた通り、廃炉作業現場を解放する事の検討を提案したい。
何故なら、廃炉作業の現場の状況は、その当事者国だけでなく、世界各国の大きな関心事である事は間違いないからだ。
【 日本の果たすべき役割 】
50年前と比較すれば、世界各地では数多くの原子力発電所が多く稼働しているし、その上
新たな建設計画が各国で進められているのが現状だ。
そんな各国で一番懸念されている事は、原子力発電所の建設技術の問題ではなく、万が一事故が発生した場合の対処方法や廃炉作業の進め方であるのは間違いないだろう。
事故が発生した場合のリスク、廃炉を行なう場合のリスクなど、技術者に説明を受けてもいるだろうが、実際にはその“現場”を確認したいというのが本心であろう。
だから、世界でも数少なく、しかも最も新しい災害現場を、そういう要望に合わせて公開するのである。
そして、実際に作業員の人達と同じ様に現場に入り、泊まり込み、生の情報を集め、持ち帰ってもらうのである。
もちろん、一定の選考基準を設ける必要はあるだろうし、現場で得た事を元に意見や提案を調査論文の形式で提出を求めて今後の参考とするべきであろう。
世界各国の技術者達が一同に現場で集えば、今後の世界での原子力事業の進め方について、日夜議論が交わされるだろうし、共通認識が生まれるでもあろう。
全世界での原子力発電によるリスクを減らす事を考えれば、上記の様な解放対応を行なう事によって、日本が世界を主導する役割、いや責任を果たすべきではないかと考えている。
そして、この研究現場に、日頃は離れた場所から意見や批判をしている国内及び近隣諸外国の方々も招待すれば良いであろう。
( 参照サイト : 10/25付け MSM産経ニュース )
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