世界各国の感染状況は、人口あたりの新規感染者数【感染密度】で比較しなければ、その被害の深刻さの判断は出来ません。【感染密度】は、人口1億人あたり日別・新規感染者数を一覧表で示し、深刻度が高くなっている程に欄を濃い色で塗り分けています。
この【感染密度】を見れば、現在、最も感染対策に支援が必要な地域は南米である事が一目瞭然です。それも、報道機会の多いブラジル以上に、ウルグアイの状況が深刻で、続いてアルゼンチンやコロンビア、パラグアイなどの諸国が続きます。また、南米・ウルグアイ以上に深刻な国は、インド洋の諸島国家・モルディブ で、それに続いて アフリカ側のインド洋の セーシェル、そして西アジア(中東)のバーレーンです。どの国も、少なくとも ワクチン接種が1回以上の人の割合は 50% 前後と高く、ワクチン接種率と新規感染者数や【感染密度】とは反比例の関係になっていない事は注目すべき点です。
New infection case per popuration by country and day
【 欧州 / Europe 】
昨年の感染拡大初期、イタリアやスペインを始めとする欧州各国がロックダウンで厳しい行動規制を行なう中、国民の自主的判断に委ねた事から欧州各国から揶揄され非難されたスウェーデンですが、その方針には大きな変更を加えないままで、感染をかなり抑制する事に成功を収めています。
そして、デンマークや北海三国などの北欧諸国、フランスやベルギーなどの西欧、そしてスペインなど南欧各国も感染抑制に成功していますが、スウェーデンと比較すれば未だに高目の【感染密度】に留まっています。この【感染密度】のまま、それら欧州各国は行動規制を徐々に緩和する方針を示しており、バカンス前に政権が国民支持を確保する為の施策とは云え、新たな “ 変異株 ” の影響と併せて注意が必要です。
また、ポーランド以東、ロシアなどの東欧諸国、そしてバルカン半島諸国まで、徐々に感染抑制は進んでいますが、唯一、ジョージアが一向に抑制へと進んでいません。隣接の諸国とは傾向が異なるため、地理的な要因以外に文化的な要因が潜んでいる可能性が窺われます。
【 アフリカ / Africa 】
アフリカ諸国は、激動の欧州と比較すれば全く平和とも言える状況である事は【感染密度】を見れば一目瞭然です。メディアは、取材が容易な事が影響しているのか、南アフリカでの感染拡大に注意すべきと報じていますが、実際には 隣国のナミビアとボツワナで感染が高まりを見せている事に注意を払うべきでしょう。
しかし、最も【感染密度】が高くて深刻な状況を示しているのは、人口が少なくてアフリカ本土から離れている観光立国の諸島国です。大西洋の諸島国・カーボベルデとインド洋の諸島国・セーシェルは心配な状況を示し続けています。特に、セーシェルは 人口約 10万人程の国で、元宗主国などからの観光客を受け入れる為に、比較的早期に旅行客受入れを始めた影響が大きいと推察されますが、国際的に報道も注目を浴びていない分だけ心配が募る状況です。
【 アジア / Asia 】
直近の 1~2週間の状況は、一部の地域や国々を除けば、全般的に感染抑制が進み【感染密度】を長期間低く抑えている国が多くを占めますが、例外的に、非常に高い【感染密度】を続ける国や急に感染拡大を見せている国があります。
先ず、最も注意が必要な国は インド洋の観光立国の諸島国・モルディブです。人口 約53万人の国なのに、連日 1000人近い新規感染者を記録し、日本に置き換えると連日 20万人近い新規感染者が報告されているという異常な状態が続いています。観光客の受け入れを急ぐ為に、ワクチン接種を急ぎ、世界的に見てもトップクラスの接種率を誇っている国ですから、重症化率が低い特徴があるのかも知れませんが、心配な気になる国です。
そのモルディブと同様に、西アジア(中東)のバーレーンも異常に高い【感染密度】を記録し続けています。同国は、近隣の UAEやカタールと同様に、海外からの労働者人口比が高い国ですから、近隣諸国でも高い【感染密度】が続いていた事と併せて、その辺りに特別な状況が潜んでいる事も考えられます。が、心配な事に変わりありません。
一時、感染拡大で懸念されたトルコは、【感染密度】を見る限り、かなり感染抑制は進んで落ち着きつつあります。同様に大国・イランも僅かずつですが【感染密度】が低下傾向にあり、イラクやヨルダンも欧州各国並みの【感染密度】に留めています。しかし、一番懸念される国・地域はパレスチナです。イスラエルとの紛争激化の時期から PCR等の検査が滞っているとも報道される様に、5月初旬から急に心機感染者数の報告が少なくなり、報告がされない日々も目立つ様になり、実際の感染者数以上に 感染した方々に充分な医療が提供されているのか大いに懸念されます。
一方、インドは既に感染ピークは過ぎ、充分に抑制が進んでいる事が【感染密度】から見て取れます。が、モルディブ と同様に懸念される国は モンゴルやマレーシア、スリランカなどです。特に、マレーシアはここ2週間での感染拡大が顕著で、隣国・シンガポールと対照的な状況を示すなど、行政主導で行なう感染抑制体制の効果の違いがはっきりと表れていると推察されます。
【 大洋州 / Oceania 】
この地域での盟主国たる オーストラリア と ニュージーランドは、長期間に亘り低く安定した【感染密度】を記録し続け、他の諸島国のすべても安心できる結果を記録し続けています。 世界の他地域の諸島国と較べれば、その人種的なオリジンなど、ウイルスに対する耐性などに何等かの差がある様に思えます。
【 北米 / Northern America 】
カナダと米国の両国ともに、一時の高い【感染密度】の時期を脱しつつあり、徐々に社会的な不安が無く、経済活動の再開に向けた準備を進めているのも頷ける【感染密度】で、今や、日本とさほど変わらない【感染密度】にまで抑制が進んでいます。これは、国家行政が強力に進めたワクチン接種の効果が表われての現象と思われます。
【 中米 / Central America、Caribbean 】
特に、コスタリカが高い【感染密度】を記録しています。これは、同国が観光立国政策で観光客を受け入れていると推察されますが、国民の健康や命が犠牲になる事が心配されます。同様に、トリニダード・トバゴなどの諸島国でも感染の拡大が確認され、コスタリカ同様に心配されます。
【 南米 / Southern America 】
南米の各国は、政治体制が独特なベネズエラを除けば、多くの国で高い【感染密度】を長期間に亘って記録し続けており、世界各国がメディアが焦点を当てるべき国や地域は南米諸国です。特に、注意が必要な国はウルグアイで、一か月前から深刻なレベルの【感染密度】を記録し続けています。
それに続いて、アルゼンチンやコロンビア、パラグアイやブラジルが続き、南米の殆どの国では長期に亘り深刻な状況が続いており、国際社会はこれらの国々への医療支援を検討すべきでしょう。
この状態が続く限り、国民は様々な生活基盤を失い、北米大陸への移民や難民の増大という影響が大きく残り続けていくと推察されます。
Source:#OCHA ( https://www.unocha.org/ )
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