下記は、アメリカ軍の尋問を受ける可能性のある、北野中将その他の関係者に、「北野中将へ連絡事項」というかたちで、口裏合わせを目的として配られたと考えられる極秘文書である。新妻中佐からこれらの文書を受け取った太田昌克氏は、「『(連絡事項は)80枚ほど作られた。(個人的な文書では)ない』──。新妻中佐は逝去半年前の96年12月15日、最後の取材でこう話している」と「731免責の系譜」太田昌克 (日本評論社)に記している。新妻中佐は「公文書なのか」の問には肯定も否定もしなかったというが、内容を読むと「公文書」として日時や発信元を記すことができるようなものではなく、やはり口裏合わせのための極秘(公)文書であると考えられる。敗戦時、731部隊には53人の博士クラスの人間がいたということで、それらの部隊幹部の他に、一部陸軍関係者や有末機関幹部などにも配るために80枚ほど複製が必要であったと考えられるのである。「1」はマルタと呼ばれた人たちの人体実験やペストノミなどを利用した細菌攻撃のことを秘匿せよという指示であり、したがって、マルタを収容した七、八棟は中央倉庫、ペストノミを増産した田中班はペスト研究班、枯草作戦担当の矢木沢班は自営農場担当班と偽証することを指示確認しているのである
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「北野中将へ連絡事項」
北野中将へ連絡事項
1、○及「保作」ハ絶対ニ出サズ
2、関防給ハ石井隊長以下尚在満シアリ
3、増田大佐ハ万難ヲ排シテ単独帰還シ「マ」司令部ヘ出頭セリ
4、関防給ハ総務部長兼第四部長大田、第一部長菊池、第二部長碇、第三部長兼資材部長増田大佐トナリ其他ハ転出又ハ解隊シアリ
5、第一部研究、第二部防疫実施並ニ指導 第三部給水実施並ニ指導及資材修理 第四部製造 資材部資材保管補給ヲ担任シアリ
6,七,八棟ー中央倉庫、田中班ーP研究、矢木沢班ー自営農場ニ使用シアリ
7、「保研」ニ関シテハ石井隊長、増田大佐以外ハ総合的ニ知レルモノナシ
研究ハ細分シテ常ニ人ヲ代ヘテ之ニ当タラシメアルヲ以テ他ノ者ハ部分的ニ
之ヲ知レルノミナリ 而モ其ノ目的ハ知得シアラザルナラン
8、北野中将在職中「保研」ハ前任者ノ実験ヲ若干追試セル外 積極的ニ研究セ
ズ中止ノ状態ナリ
9、「保研」ハ上司ノ指示ニアラズ 防御研究ノ必要上一部ノモノガ研究セルモノナ
リ
10、北野中将ハ在職中専ラ流行性出血熱ノ研究ニ没頭セリ
http://www15.ocn.ne.jp/~hide20/ に投稿記事一覧表があります。
一部漢数字をアラビア数字に換えたり、読点を省略または追加したりしています。
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「北野中将へ連絡事項」
北野中将へ連絡事項
1、○及「保作」ハ絶対ニ出サズ
2、関防給ハ石井隊長以下尚在満シアリ
3、増田大佐ハ万難ヲ排シテ単独帰還シ「マ」司令部ヘ出頭セリ
4、関防給ハ総務部長兼第四部長大田、第一部長菊池、第二部長碇、第三部長兼資材部長増田大佐トナリ其他ハ転出又ハ解隊シアリ
5、第一部研究、第二部防疫実施並ニ指導 第三部給水実施並ニ指導及資材修理 第四部製造 資材部資材保管補給ヲ担任シアリ
6,七,八棟ー中央倉庫、田中班ーP研究、矢木沢班ー自営農場ニ使用シアリ
7、「保研」ニ関シテハ石井隊長、増田大佐以外ハ総合的ニ知レルモノナシ
研究ハ細分シテ常ニ人ヲ代ヘテ之ニ当タラシメアルヲ以テ他ノ者ハ部分的ニ
之ヲ知レルノミナリ 而モ其ノ目的ハ知得シアラザルナラン
8、北野中将在職中「保研」ハ前任者ノ実験ヲ若干追試セル外 積極的ニ研究セ
ズ中止ノ状態ナリ
9、「保研」ハ上司ノ指示ニアラズ 防御研究ノ必要上一部ノモノガ研究セルモノナ
リ
10、北野中将ハ在職中専ラ流行性出血熱ノ研究ニ没頭セリ
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一部漢数字をアラビア数字に換えたり、読点を省略または追加したりしています。