![]() | 僕たちは発達しているよ |
中田 大地 | |
花風社 |
本を読んだあとに、その本の著者や編集者にお会いした経験はあるが、この本は、逆でした。
花風社という出版社の浅見淳子さんの講演を聞いて、花風社から出ている本に興味をもったことが先。そして、新刊の中田大地・著「僕たちは発達しているよ」を読みました。
小学3年生の大地君の言葉を、噛みしめながら、読んでしまいました。
この本のなかで、一番、興味を持って読んだのは、大地君が2年生から3年生に進級する春休みに、「アスペルガー症候群」と診断されたことについて書かれている部分です。
その診断が出たとき、大地君自身は、ご両親が悲しむと思っていたそうです。
しかし、ご両親は驚かず、悲しみもせず、「はい、はい」という感じ、「そんなことは知っていたよ」という感じでした。
その反応に大地君が「なぜ?」と疑問をもちます。そして、その疑問についてたくさん話しをして、納得した経緯がつづられています。
「僕がわかったことは、僕は自閉症でもアスペルガーでも僕だということです。幸せなのは自分の手でご飯が食べられ,行きたいところへ自分の足で行けることです。一番大事なことは、大人になるためのトレーニングが必要ということです。僕は修行に入ることになりました」
「働くというのは、お金をもらうこと。生きていくためには働かないといけないそうです。障害があるのは恥ずかしいことではないそうです。でも、働かないでご飯が食べられない人は恥ずかしい人です。僕は働けるようになります。戦う相手は自分です。それと自分のことを自分で出来ることが大事です」
大地君の言葉は、ご両親をはじめ、特別支援教育コーディネーターの先生、「本の博士」として関わる浅見さんが大地君に伝えてきたことを、大地君自身が受けとめ、咀嚼したうえで発せられたものだと思います。
「生きることとは、どういうことか?」
障がいのある、なし、に関わらず、このことを子どもに伝える努力をすることが、大人の役割なのかもしれないと感じました。