ゆるっと読書

気ままな読書感想文

【自選 谷川俊太郎詩集】言葉は果実 

2014-12-10 23:01:46 | Weblog


「人々の心をむすぶ」

谷川俊太郎さんの「言葉は」という詩の
最後の一文です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
言葉は果実

苦しみの夜に実り

喜びの日々に熟して

限りなく深まる意味で

味わい尽くせぬ微妙な味で

人々の心をむすぶ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この詩は、
「言葉は種子」
「言葉は新芽」
「言葉は蕾」
「言葉は花」と続き、
「言葉は果実」が最後の節なんですが、

最後の「人々の心をむすぶ」という一文が、とても好きです。

私の場合、
伝えたいことがまとまらないまま、話しをしはじめて、
同じことを繰り返し言ってしまうことが多い。

話すのが得意ではないので、
書くことでなんとか自分の水準を上げたいところ。

自分の言葉が、「人々の心をむすぶ」という領域は、
もっと、ずっと高いところにあるけれど、

いつか、一つでも、
そういう言葉を発することができたらいいなと思います。


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【このひとについて14万字ちょっと】重松清と山田太一

2014-12-03 07:49:14 | Weblog


ぼくは変わらなければならないと思った。

あるがままに、自然に生きるのではなく、

無理をして自分を越えようとする人間の魅力を、

忘れたくないと思った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
山田太一さんのドラマ「早春スケッチブック」の登場人物のセリフだそうです。

人には、それぞれ能力があり、限界もある。

限界があるとしても、

人は、今、自分がもっている限界を超えていこうとする

無理して、頑張ったり、もがいたりする。

結果は、わからない。

実現の可能性は低いかもしれない。

ただ、限界を越えようと挑戦していくことそのものが、

人間の魅力である。

そんなメッセージだと思いました。

このセリフは、

重松清さんの著書「この人たちについての14万字ちょっと」(扶桑社)

に収められている

「山田太一 深くあきらめたひとの、あきらめない思い」

の中で、紹介されていたものです。

重松さんによると、

山田太一さんは、雑誌のインタビューで

「人間は、生まれた時から不平等です。

国籍、容貌、親も子も選べない。

限界だらけでいきているわけだから、

そんなにうまくいかないのが普通なんです。

その普通をよしとしなければ、

挫折感ばかりで心を病んでしまう。

“頑張ればなんでもできる”なんて、

一握りの成功者の希少現実ですよ。

限界の中でなんとか可能性を見つけるのが、普通の人生でしょ」

といわれているそうです。

ただし、その言葉どおり、

限界の中でよしとして生きているかというと

山田太一さん自身は、そうではない。

限界を超えていくことを、諦めていない。

ドラマの登場人物に、

「無理をして自分を越えようとする人間の魅力を、忘れたくない」

と言わせるのは、

諦めていない思いの表れである。

というのが、重松清さんによる解釈でした。


「現実」と「幸福」(理想)の間を、揺れ動くのが人間で、

そこにドラマがあるのだと思いました。



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