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だいじょうぶ3組 |
クリエーター情報なし | |
講談社 |
著書「五体不満足」で有名になった乙武洋匡さんが、小学校を舞台にして書いた小説。
ただし、登場人物の主人公・赤尾先生は乙武さん自身がモデル。実体験をもとにして書かれた小説だと思います。
小学生5年生くらいからでも読めるように漢字にルビが振られていますが、大人に、特に子育てをしているお父さん、お母さんに読んでほしい本です。
「普通」とはどういうことか?
「ナンバーワン」と「オンリーワン」をどうとらえるか?
他人との「違い」をどう受けとめるか?
こうした問いを考え、自分の考えをもっておくことは、とても大事だと思うからです。
私が好きなエピソードは、電動車椅子で移動している赤尾先生と、5年3組の生徒たちが、学校行事になっている高尾山の登山の遠足をどうするか?という話。
赤尾先生は、学級で起こるさまざま出来事について、常に答えを持っているわけではありません。
時々、失敗したり、悩んだりします。
でも、一生懸命、全力で、生徒たちと向き合う姿があり、それに胸が熱くなります。
こんなふうに正直に、本気で人に向き合うと、気持ちが相手に届くのだろうなと感じさせる何かがあります。
この本とはまったく関係ない出来事から、私は、最近、人と向き合うことについて考えたことがありました。
相手に分かってもらえない。
相手に心を開いてもらえない。
そう感じたとき、それは、相手に問題があるのではなく、
自分が、相手のことを分かっていなかったり、
自分も、相手に心を開いていないということなのかもしれない。
そう考えて、自分の未熟さを実感しました。
でも、まあ、仕方ない。
自分が未熟だということを発見したのは、収穫だったね。
と、思います。
大人の人間関係は、小学校のクラスの人間関係とは異なるところもありますが、「だいじょうぶ3組」の赤尾先生のような姿勢で人と向き合うことを続けていたら、相手と理解しあえることがあるのかもしれない…。
そういう希望を感じさせられる本でした。