「一番、生じやすい変化は、180度の変化である」。
河合隼雄さんの「こころの処方箋」の中に出てきた言葉です。
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人間は自分で何とか性格や生き方を変えたいと思うときがある。
あるいは、他人の行動を変えたい、変わってほしいと思うこともある。
ところが、これはなかなか難しいことだ。
人間が変化する場に立ち会い続けていて、まず、思うことは、
「一番生じやすいのは、180度の変化である」
ということである。
非行少年が、急に変身して、途方もなく「よい子」になる。
また、180度の逆転をやって、「やっぱり、あの子は悪い子」となる。
例えば、
自分の生き方を考えてみたとき、
親の生き方と比較してみて、
びっくりするほど同じ生き方をしているか。
まったく正反対か。という人が多いようである。
自分は親のような生き方をしない、
と決心した場合、
20度、30度と変化させるのではなく、
180度の変化をしていることが多いと思われる。
つまり、何らかの方向づけの力が働いているとき、
逆転してしまうほうが、
少し変えるよりは、まだやりやすいのだろう。
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河合さんは、
180度の変化が、生じやすいものだと考えると、
じっくり構えていられるようになると、
指摘されています。
この指摘を受けて思うのは、
大人になるにつれて、
プライドがあったり、
社会的に立場が気になったりして、
「変わろう」、「変えよう」とする時に、
本当は、180度の変化をすればよいものを、
20度、30度の変化を目指してしまう。
中途半端な変化にとどめてしまうのではないか。
ということ。
なかなか上手くいかないのは、
20度、30度の変化は、
180度の変化よりも難しいからかもしれません。
思い切って、
180度
くるっと変えてしまう。
勇気は要るけれど、
結局は、そのほうが楽なのかもしれません。