ゆるっと読書

気ままな読書感想文

【動的平衡ダイアローグ】大人になるって、どういうことですか? ノーベル文学賞のカズオ・イシグロさんと、生物学者福岡伸一さんの対談より

2017-11-29 06:30:23 | Weblog




「動的平衡ダイアローグ」に収められている
生物学者福岡伸一さんと作家カズオ・イシグロさんの対談。

イシグロさんがノーベル文学賞を受賞されたことを受けて、改めて読んで、
イシグロさんの小説が取り扱っているテーマについて、考えさせられました。

カズオ・イシグロさんは、「大人になる」ということについて、次のように話しています。

大人になるということは、自分も含めた人間の欠点と向き合い、
ときにはそれを許すこと、人間とはそういうものだと理解することではないでしょうか。
人生は現実にはかなり困難だけど、それでもそれに適応していかなければならないと悟ることだと思います(カズオ・イシグロ)

イシグロさんが小説で扱っているテーマの一つに「記憶」があり、
記憶は、人を苦しめることもあれば、救うこともあるということを描いています。
イシグロさんの小説(フィクション)を読むことで、
読者は、自分自身の「記憶」を少し離れたところから俯瞰する視点を
持てるかもしれません。

小説(フィクション)とノンフィクションとは違いがありますが、
人物や出来事を描くという点では重なります。
何を、どう描くのか、自分自身の表現のアプローチも考えてみたいと思いました。


「動的平衡ダイアローグ」の副題は「世界観のパラダイムシフト」。

「動的平衡」は、福岡さんが生物学的な視点から生み出した言葉ですが、
物事や状態の捉え方(パラダイム)を示しています。
生物学だけでなく、哲学、芸術にも応用できる(シフト)ことを示しているのが、
本書の位置づけです。

動的平衡ダイアローグ 世界観のパラダイムシフト

#福岡伸一#カズオイシグロ#動的平衡#対談#読書



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【センス・オブ・ワンダーを探して】私の物事の見方、大丈夫? 見えにくくなっているところに気が付かせてくれる一冊

2017-11-13 06:22:23 | Weblog


「この人が、日本人で良かった」と、私が勝手に思っている人がいます。

正確に言うと、「同じ言語を使っている人で良かった」ということで、
なぜなら、この人が書いた本やら、書いた文書を読むことができ、
学ぶことができるからです。

それは、ずばり、福岡伸一先生。

生物学者です。画家のフェルメールについて書かれていたり、
最近は哲学に関する本もあります。

福岡先生が物事を解説する時に使う比喩、例え話は、状態とか情景が絵に浮かび、
感覚的に、私にはピタッときます。

あぁ、分かりやすい。
ここで、その例えを使うのか、
すごいなぁ、この先生。
こういう先生の授業だったら、眠くならないだろうな。
と思ったりします。

最近、手に取ったのは「センス・オブ・ワンダーを探して」という
阿川佐和子さんとの対談本。

福岡先生と阿川さんの
子ども時代のエピソードから始まり、

「生きているとはどういうことか」とか
「科学の進歩は、人を幸せにするか」とか
とても深いテーマに触れている章もあります。

私は、物事の見方について、改めて考えさせられた点が多くありました。

福岡先生は、
「本当は世界は繋がっているのに、私たちは常に部分を切り取ってその中だけでものを考えがちになっている」と指摘しています。

私は、この箇所を読みながら、

世の中で起こっていること、
例えば、環境問題について、
自分の暮らしや健康や生命に繋がっているという意識を持って、ものを考えることができているだろうか?と考えました。

「たしかに、問題だ」と思いつつ、
一方で、とりあえず、今、直接、自分の暮らしに困った現象が起きていないということで、安心してしまっていると思います。

つまり、判断基準は、自分の健康とか暮らしとか、自分だけの世界で捉えていて、
地域とか、自然とか、環境とか大きな世界とのつながりを、どこか薄いものの
ように感じているのです。

私の物事の見方って、大丈夫?
そういう見方では、見えないところがたくさんあるんじゃない?

と思わせてくれる一冊でした。

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【技術屋の王国 ホンダの不思議力】成果や利益に結びつくか分からないものに、投資ができますか?

2017-11-03 16:29:54 | Weblog


成果や利益に結びつくかどうか分からないことに、頑張れるかどうか?

これは、最近の私のテーマです。

「頑張る」「頑張らない」「挑戦する」「挑戦しない」の選択は、
個人の価値観や判断に依りますが、組織や集団で同様の問いを立ててみると、
成果や利益に結びつくかどうか分からないことに「頑張る」「挑戦する」を選択するのは、
個人の場合よりさらに難しいことのように思います。

利益に結びつくかどうかわからない事業を続けることは、組織の存続に関わります。
組織をまとめる立場の人は、責任も問われます。つまり、ある程度、先が見える選択。利益や成果が見通せる選択をする傾向になるのは、仕方がないような気がします。

ただ、一見、安全策ともいえる、
そうした選択をすることが、本当に利益に結びつくのかどうか。
それは、やっぱり分からないものだとも思います。

『技術屋の王国 ホンダの不思議力』(東洋経済新報社、片山修著)は、
本田宗一郎が創業したホンダの研究開発に注目した本です。
特に、航空機の研究開発の立ち上げから事業化までをまとめており、
そのなかで、ホンダの研究開発力の基盤にある企業風土や理念に触れています。

利益になるのかどうか分からなくても、研究開発する。
前例がないから、挑戦する。
ホンダは、そういう企業風土を持つそうです。

企業規模からいうとトヨタや米国のGMに比べて小さく、
研究開発費用も潤沢にあるわけではないのに、
ホンダは、なぜ、自律型二足歩行ロボットASIMOや航空機を作ることができたのか。

強烈な個性がある人も、組織のなかに受け入れていく。異質なものも取り入れる寛容さを備えている。さまざまな要素がありますが、根底にあるのは本田宗一郎が大切にしていた「人間尊重」なのかと思いました。

技術屋の王国


#コーチング#自分掘り起し#人間尊重#ホンダ#本田宗一郎#研究開発
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