「動的平衡ダイアローグ」に収められている
生物学者福岡伸一さんと作家カズオ・イシグロさんの対談。
イシグロさんがノーベル文学賞を受賞されたことを受けて、改めて読んで、
イシグロさんの小説が取り扱っているテーマについて、考えさせられました。
カズオ・イシグロさんは、「大人になる」ということについて、次のように話しています。
大人になるということは、自分も含めた人間の欠点と向き合い、
ときにはそれを許すこと、人間とはそういうものだと理解することではないでしょうか。
人生は現実にはかなり困難だけど、それでもそれに適応していかなければならないと悟ることだと思います(カズオ・イシグロ)
イシグロさんが小説で扱っているテーマの一つに「記憶」があり、
記憶は、人を苦しめることもあれば、救うこともあるということを描いています。
イシグロさんの小説(フィクション)を読むことで、
読者は、自分自身の「記憶」を少し離れたところから俯瞰する視点を
持てるかもしれません。
小説(フィクション)とノンフィクションとは違いがありますが、
人物や出来事を描くという点では重なります。
何を、どう描くのか、自分自身の表現のアプローチも考えてみたいと思いました。
「動的平衡ダイアローグ」の副題は「世界観のパラダイムシフト」。
「動的平衡」は、福岡さんが生物学的な視点から生み出した言葉ですが、
物事や状態の捉え方(パラダイム)を示しています。
生物学だけでなく、哲学、芸術にも応用できる(シフト)ことを示しているのが、
本書の位置づけです。
動的平衡ダイアローグ 世界観のパラダイムシフト
#福岡伸一#カズオイシグロ#動的平衡#対談#読書