ゆるっと読書

気ままな読書感想文

本の「賞味期限」

2006-03-28 20:50:21 | Weblog
本を売るなら「ブックオフ」。
CMのキャッチフレーズもすっかりお馴染みになりました。黄色い看板のあの古本チェーン店です。散歩するときには2駅か3駅ぶんくらい歩いてしまうので、必ず、どこかの店舗に出会い、つい立ち寄ってしまいます。

ブックオフの本棚の前で浮かぶのは、「賞味期限」という言葉。
「賞味期限」とは、食べ物などが美味しく食べられる品質を保証できる期限という意味で、「食べられなくなる」期限ではないそうです。賞味期限の前でも、保存状態が悪ければ美味しくないし、賞味期限を過ぎて食べても大丈夫なものもあります。つまり、あくまで1つの目安です。

ブックオフで売られている本について言えば、どの本も読もうと思えば読めるわけですが、読んで楽しめるかどうか、その「期限」があるように思います。

代表的なのは、いわゆるタレント本。流行でベストセラーになった「愛される理由」(二谷友里恵)、対抗して「ダディ」(郷ひろみ)、「ふたり」(唐沢寿明)などは、話題になった当時も手にしたことはなかったけれど、さすがに「今さら読んでもねぇ」という感じ。

芥川賞などの文学賞を受賞した本の中にも、「こんな受賞作があったかしら?」と首をかしげてしまうものや、受賞作が代表作で作家のその後が浮かばないものもあり、これらもあまり読む気になれません。

結局、自分の「賞味期限」、つまり、「あの本、一般の書店で正規の値段で買う気にはならないけど、ブックオフの価格なら読みたい」と感じる期間にある本を掘り出せるかどうか。それが、ブックオフに立ち寄る際の、勝負のポイントです。

桜も見ごろ。そして、春は、引越しが多く、本が売られやすい季節。
次回の散歩で、賞味期限内の本が見つかるといいなぁ。
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映画「ホテル・ルワンダ」より

2006-03-06 20:54:50 | Weblog
映画「ホテル・ルワンダ」を観に出かけました。

舞台は、1994年、アフリカのルワンダです。
ルワンダにおけるフツ族とツチ族の対立は、フツ族によるツチ族の虐殺へと発展。今からほんの10年ほど前に起きた出来事を元にした映画です。

主人公は、4つ星ホテルの支配人ポール。
彼は、フツ族。妻はツチ族。
従業員には、フツ族もツチ族もいました。

民族間の対立が激しくなる中、ホテルに宿泊していたテレビ局の白人リポーターらが、虐殺の模様をカメラで撮影します。

それを知り、ポールは期待します。
「あの映像を見れば、世界はきっと助けに来てくれる」

しかし、白人のリポーターは、こう答えます。
「あれを見た人々は、“怖いね”と言うだけで、ディナーを続けるだろう」と。

白人リポーターの言葉は、製作者が映画に込めたメッセージのひとつだと思います。

私は、コンビニで買ったジュースなどを片手にスクリーンに向かい合っていて、ルワンダでの虐殺は、自分とはかけ離れた遠い出来事です。

虐殺は「あちら側」の出来事、私は「こちら側」にいるのです。

劇場に足を運んだ程度の関心は、ルワンダのような地域で暮らす人々に対して、結局、何の「救い」にもならないのかもしれません。

それでも、この映画を観て、自分自身と照らし合わせたり、虐殺下に置かれた人々に思いを馳せたりすれば、少しは意味があるでしょうか。

劇場を出ると、渋谷の街は暖かい日差しに溢れていました。
分かってはいたことですが、「幸せ」なんだな、やっぱり。
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