ゆるっと読書

気ままな読書感想文

自分を癒す方法 #若い読者のための短編小説案内

2018-03-28 06:18:10 | Weblog



スランプに陥ったり、やる気がでないとき、ありますか?
何らかの理由で、気分が落ち込んでしまったり、
落ち込んでいる理由さえ分からなくなる場合 ありますか?

マイナスからプラスに切り替えるのには、心のスイッチを入れるような作業が必要になります。旅行や引っ越しなど、場所を変えることは、切り替えのスイッチにしやすいですし、
音楽を聴いたり、運動したりするのも、その作業に集中することで、切り替えのスイッチになりますね。

村上春樹さんのエッセイ「若い読者のための短編小説案内」によると、
書くことも、癒しのスイッチになるそうです。

誤解を恐れずに言ってしまうなら、あのときは物語を書くことによって、心の特定の部分を集中的に癒すことができます。精神的な筋肉のツボのようなところを、ぎゅっと効果的に押さえることができます。それは、身近く深い夢を見ることに似ています。

村上春樹さんは、あまりスランプになった経験がなかったが、何かを書こうという気持ちが沸いてこない時期があった。気分の切り替えに役立ったのは、短編の小説を書くことだったそうです。

何のために文章を書いているのか?と考えると
それは、やはり、自分のためです。
自分の頭の中を整理するという、個人的な目的で書いている。
そして、誰かに伝えたいことがあり、口頭では伝えにくいので、文書にまとめる。
ただ、誰かに読んでもらうことを前提に書いた文書であっても、書くことを通じて、自分の価値観や考え方、世の中の見方などを知ることが多くあります。

書くことが、自分を癒す方法の一つになる理由がよく分かります。

#村上春樹#エッセイ#若い読者のための短編小説案内#読書#感想文
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【暇と退屈の倫理学】暇で退屈だな。と思った時に手に取ると、暇と退屈は違うんだ。この暇と退屈は、自分に原因があるわけでもなさそうだ。といろいろ気づきがある一冊

2018-03-16 06:22:15 | Weblog


「あ~、なんか最近、暇なのよ」
「忙しいより、いいんじゃないの?。暇なほうが」
「う~ん、でも、なんか退屈でさ」
「ああ、暇が問題なんじゃなくて、退屈が問題なんだね」
「え?どういうこと?」

暇で、退屈。
誰でも、一度や二度は、そんなことを感じたり、考えたりした経験があるのではないでしょうか?

『暇と退屈の倫理学 人間らしい生活とは何か?』(國分功一郎・著、朝日出版社)は、
「暇」と「退屈」について、哲学を用いて、解説を試みた本です。

まず、
「暇」と「退屈」という二つの言葉は、しばしば混同して使われるが、同じものではないということ。
「暇」とは、何もすることがない、する必要がない時間を指している。つまり、暇は、客観的な条件に関わっている。これに対し、「退屈」とは、何かをしたいのにできないという、感情や気分を指している。それは人の在り方や、感じ方に関わっており、主観的な状態を示している。こんなふうに暇と退屈を定義したうえで、さまざまな角度から考察しています。

哲学者の著書や指摘を紹介しながら、
一つの場所に住む=定住することや、経済の発展と仕事の仕方、消費行動が、暇や退屈に関係していることを、分かりやすく、解説しています。

「暇」や「退屈」って、自分自身に原因があるように思いがちですが、実は、これまでの歴史や、社会の経済の仕組みのなかで、生み出されたものなんだなと思えてきます。


「暇」な時には、「何かしないといけない」という意識が頭に埋め込まれていて、
「退屈」とつながり、何かを探し求めて、行動するように促されている。
そんなふうに捉えてみると、「その退屈って、本当に問題か?」と疑わしくなってきます。
「退屈」というけれど、なぜ、「退屈」だと思うの?
自分が何をしたら、どういう状態になったら、「退屈」が無くなるの?
自分がしたい「何か」が見つからないなら、あえて、何もしなくていいじゃないの?

自分のなかにある「暇」や「退屈」をいったん整理して、冷静に眺めてみると、
自分の生き方や価値観が、さまざまなことに影響を受けていることが分かります。
そのうえで、どう生きるか。ということを、考えるための一冊です。


暇と退屈の倫理学

#暇と退屈の倫理学
#國分功一郎
#哲学
#生き方
#働き方

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自己啓発本って、どれも書いてあることが同じ。そう思った時、あえて手に取って、自分を見直した一冊。#働く大人のための「学び」の教科書

2018-03-07 06:36:06 | Weblog



自己啓発の書籍って、どれも似たり寄ったり。
書いてあることは、基本的なことで理解はできるけど、
数冊読んでいると、「これって、前にどこかで読んだことある」と思ってしまう。
新しい発見が少ない気もする。

そんなこと、ありませんか?

東大の中原淳先生の書籍『働く大人のための「学び」の教科書』は、
タイトル通りの書籍。
すでに社会に出て、働いている人のために「学び方」を教えてくれる本です。

中原先生によると、大人の学びとは、『自ら行動するなかで、経験を蓄積し、次の活躍の舞台に移行することを目指して変化すること』

人生100年時代といわれる時代になり、
社会環境の変化や市場のニーズの変化に対応すること必要になっています。
そのために、大人になっても学びつづける必要があるけれど、その「学び方」をどうすればいいか。本書は、その指針を示してくれています。

本書の中で指摘されているポイントは、
よく考えてみると、当たり前のことかもしれません。

例えば、経験を学びに変える「振り返り」。
経験は、そのままにしておいては、学びにつながらないため、「振り返り」が重要になるのですが、その際に、3つの問いに考えを巡らすことが重要と説明されています。

3つの問いとは、
①What?(過去になにが起こったか)
②So What?(どのような意味があったのか。何が良くて、何が悪かったのか)
③Now What?(これからどうするのか?)
というもの。

自分で自分に問うことはなかなか難しいので、まず、他人から、SBI情報(Situation:状況、Behavior:態度、Impact:成果)をフィードバックしてもらう方法があります。つまり、「どこで、どんな時に、どんな行動をしたことが、良かったのか悪かったのか」を指摘してもらいます。そのSBI情報のフィードバックを材料にして、自分で振り返りの問いかけをしてみることが重要ということでした。

他の自己啓発本にも、似たような内容が書かれているかもしれませんが、
この本を読んで改めて気がついたのは、以前に手に取った本と似たような記述があろうがなかろうが、今、手に取っている本から、自分自身がよりたくさんの事柄をインプットできることが大事ということ。

似たような内容でも、内容の整理の仕方や、ポイントの出し方は、同じではありません。
本書は、「大人の学び方」が体系的に整理されて解説されていますので、頭の中で、ぼんやり置いてあったことが、引き出しに整理整頓されたような気持ちになりました。

働く大人のための「学び」の教科書


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この本に、呼ばれたのかもしれない  「3.11」は特別な意味を持つ数字の組み合わせになったことについて考えていた時に

2018-03-05 06:17:57 | Weblog



「3.11」は、特別な意味を持つ数字の組み合わせになっています。

いわゆる「東日本大震災」が起きる前までは、
「3.11」は、個人的に誕生日だとか、記念日とかでない場合、
その前日の「3.10」と、その翌日の「3.12」と、
それほど変わらない位置づけの日だったと思います。

それが、日本の歴史の中でも「あの日」として刻まれる特別な日になってしまいました。

その特別な日が、今年も近づいてきています。
1年に1度、この日を迎えることになりますが、
年を重ねるたびに、何かが少しずつ変わっているように思います。
変化は、あの震災に対する自分の受けとめ方かもしれないし、
あの時感じていたことを鮮明には思い出せないような記憶の薄れかもしれません。

そんなことをつらつらと考えていた時に、
長野県上田市に遊びにいくことがあり、
大好きなブックカフェNABOの棚で、視界に飛び込んできたのが、
この本。高橋源一郎さんの著書「非常時のことば 震災の後で」です。

あ~ぁ、私、たぶん、この本に呼ばれているわ。

と思ってしまいました。

本書は、震災の前と後で、変わったもの(変わらないもの)について触れており、
自分が「考える」こと、自分が「書く」こと、おそらく、それは、自分が「生きる」ことについて、改めて、考えさせられる本でした。

「非常時」は、震災ばかりでありません。
ある時、ある場所では「戦争」であり、「水俣病」などもあります。
この本では、石牟礼道子さんが、水俣病の関係者、地域の人々について丁寧に聞き取りをされて綴られた文章の「美しさ」についても解説されています。
先日、お亡くなりになったニュースを耳にしたこともあり、石牟礼さんのお仕事の素晴らしさを、高橋さんの解説でよりよく理解できたことも、「あぁ、やっぱり、私は、この本に呼ばれたのだわ」と思った理由です。


非常時のことば 震災の後で (朝日文庫)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする