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殺人者たちの午後 |
クリエーター情報なし | |
飛鳥新社 |
「殺人者たちの午後」は、イギリスの作家トニー・パーカー氏による殺人者たちのインタビュー集です。日本語訳は、沢木耕太郎氏。
人は人を殺すとき、どんな状態で、どんな思いでいたのか。
人を殺した後、どんなふうに生きていくのか。
とても重いテーマと思うのですが、殺人者も「人」。
人を殺す人と、殺さない人との間にある「何か」は、見えるようで、見えないと感じさせる本でした。
個人的に興味深かったのは、沢木さんの「訳者あとがき」です。
「すぐれたインタビュアーとはどういう存在なのか」。
ということについて、沢木さんは次のように書かれています。
「まず、何より好奇心を持っていること。」
「次に、本質的なところで世界と人とに肯定性と謙虚さを持っていること」
「そして、最も大事なものが、理解力と、想像力といってもよい洞察力を持っていることである」
取材させていただく機会のある私にとって、頷かされるポイントずばりです。
さらに、沢木さんは「インタビュー」という行為について、次のように書かれています。
「それにしても、インタビューとは不思議な行為である。多くの場合、一面識もない相手と、インタビューという方法を媒介にして人間と人間との関係を構築していく。もちろん、そこには限界がある。理解したいという情熱と、理解されたいという願望がぶつかり合い、訊ね、答え、耳を澄ませて聴いてもなお、やはりどうしても到達できないところがある。それがインタビューという方法を媒介して切り結ぶ人間関係の限界でもあるのだ」
「殺人者の午後」が出版されたとき、ある雑誌に沢木さんが紹介されていたトニー・パーカーの手紙の一節。この「あとがき」からのものでした。
「書くことは才能や天性とはまったく関係がない。重要なのは、孤独に耐える力と決断力、勤勉さ、そして取材対象者との密接な結びつきである」
インタビューを介して築く人間関係には、限界があります。その限界に、孤独を感じることもありますが、それでもなお相手と密接な関係をつくろうと、最大限ぎりぎりのところまで相手に迫っていく努力をできるかどうか――。
これは、インタビューだけでなく、人と向き合う仕事をしている人には通じるところがあるかもしれません。
トニー・パーカーの手紙の一節、実は、私、今年の手帳に写してありました。
そろそろ2012年の手帳にしなくては!
もう一回、写しておきたいと思います(*^_^*)。