ゆるっと読書

気ままな読書感想文

【悩む力】社会の中で「いいね!」のまなざしを

2011-07-12 23:38:40 | Weblog
悩む力 (集英社新書 444C)
クリエーター情報なし
集英社

 

 

FACEBOOKでは、「いいね!」というボタンがあり、自分が書いたコメントやノートに「いいね!」をもらえると、嬉しい気持ちになります。

 

気になっている人に「考えや気持ちが伝わったかな」と感じたり。

 

普段はあまりお会いできない人や

まだ実際にお会いしてない人とも、

「いいね」を交換することで、「素敵だね」とか、「頑張っているね」と思いあえる気がします。

 

私は、実際に会って、お話しするのが好きなので、そういう時間の中で育む人間関係が一番とは思いますが、関係づくりにプラスの効果を与える手段の一つが、「いいね!」だと感じています。

 

姜尚中(カン・サンジュン)著の「悩む力」のなかで、何度もでてくるキーワードとして、「承認」という言葉があります。

 

たとえば、「生きる力」について書かれたところで、

 

 「人は一人では生きられない」とよくいいます。それは経済的、物理的に支えあわなければならないという意味だけでなく、哲学的な意味でも、やはりそうなのです。

自我を保持していくためには、やはり他者とのつながりが必要なのです。相互承認の中でしか、人は生きられません。

 

(本書第八章『なぜ、死んではいけないか』より)

 

 

と出てきます。

 

また、「何のために働くのか」について書かれたところでは、

 

 

社会というのは、基本的に見知らぬ者同士が集まっている集合体であり、だから、そこで生きるためには、他者から何らかの形で仲間として承認される必要があります。そのための手段が、働くということなのです。働くことによって初めて「そこにいていい」という承認が与えられる。

 

(中略)

「人はなぜ働かなければならないか」という問いの答えは、「他者からのアテンション(ねぎらいのまなざしを向けること)」そして、「他者へのアテンション」だと言いたいと思います。

 

と出てきます。

 

つまり、自我(自分とは何者か)を成立させるには、他者から存在を承認してもらうことが必要。

 

さらに、社会の中で生きるためには、見知らぬ人として出会った人たちから、自分の存在を承認されることが必要で、そのための手段が働くことだと指摘されています。

 

FACEBOOKの「いいね!」は、「相互承認」の表現の一つ。

 

「いいね!」を押すことは、相手に対して、「ささやかなまなざし」を向けることにはなりそうです。

 

「いいね!」で嬉しくなる気持ちの源泉は、人として生きていくために必要なことと、つながっているのかもしれませんね。

 

FACEBOOKって、結構、深いかもしれないですね(*^_^*)

 

 

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【自閉っ子と未来への希望】一緒にお仕事をして気づき、考え、そして今後

2011-07-06 23:07:58 | Weblog
自閉っ子と未来への希望
クリエーター情報なし
花風社

 

編集者としてお仕事をされている花風社の浅見淳子さんが、ご自身の体験をもとに、自閉症や発達障害のある人について、また、支援について書かれた本です。

 

浅見さんが障害のある方とお付き合いする中で気がついたり、考えたこと、また、書籍で伝えたいことなどがまとめられています。浅見さんのお仕事のこれまでの歩みを振り返った本といえます。

 

浅見さんは、お仕事を一緒にしたい、一緒にする必要がある人だから、お付き合いしていくという姿勢の方。障害の有無は、仕事上のお付き合いをする・しないとは関係ない。

お付き合いの考え方は、とても自然だと思います。

また、本書を読むと、浅見さんが失敗を経験されたり、試行錯誤されながら、お付き合いしてこられたことも伝わってきます。

 

私が注目した点は、次の箇所です。

 

「(株)たすく」の斎藤宇開先生の言葉としてご紹介されている「社会の理解には限界があるんです」という言葉。

 

これは、胸のなかにもやもや蓄積していたものがストンと落ちるような言葉だと思います。

 

浅見さんもご指摘されていることですが、一般の人から理解を得にくい、分かりにくいとされている障害について、理解を得るのはなかなか難しいと思います。

理解を得るために啓発活動をしたり、情報発信することは必要ですが、でも、それをしたからといって、すぐに理解されるかというと、おそらくそうでないとも思います。

 

社会のなかには「わかってくれない」人もいる。

社会の理解には限界がある。

 

頭の中で一応は分かっているけれど、なんとなくモヤモヤしてしまったとき、改めて、「ああ、そうでした」と、再確認するような感じがします。

 

そして、「社会の理解には限界がある」ということを踏まえて、だからこそ、こうしていこう。こうやってみよう。

という次の一歩が見えてくるような気がしました。

 

本書第7章の「新時代へ」は、この本の総括であり、浅見さんのお仕事のこれからについて書かれています。

 

そのなかで、

「社会は怖い場所ではない」というテーマで書かれていることは、私が障害者の就労に注目している理由と重なる点がありました。

 

また、「希望を記録していく」というテーマでまとめられていること、素敵です。

 

その人の今だけでなく、未来ごと受容するという考え方は、視野が開けます。

 

読みやすく、そして、読み終えた後、「なるほど」と感じさせる1冊。

 

 

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