![]() | 自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫)岡本 太郎青春出版社このアイテムの詳細を見る |
芸術家・岡本太郎といえば、「芸術は、爆発だ!」という発言が有名だ。
この発言を使ったコマーシャルがあったのを、おぼろげに記憶している。
「爆発」には、花火のようにドーンと何かが弾けるイメージがある。
このため、「芸術は、爆発だ!」というのは、芸術家が頭の中や心の中に持っているものをドーンと吐き出して表現することだと思っていた。
しかし、岡本太郎・著の「自分の中に毒を持て」を読んで、「爆発」の意味を誤解していたことが分かった。
岡本太郎は、こんなふうに言っている。
『一般に「爆発」というと、ドカンと大きな音が響いて、物が飛び散り、周囲を破壊して、人々を血みどろにさせたり、イメージは不吉でおどろおどろしい。が、私の言う「爆発」はまったく違う。音もしない。物も飛び散らない』
『全身全霊が宇宙に向かってパーッとひらくこと。それが「爆発」だ。人生は本来、瞬間瞬間に、無償、無目的に爆発しつづけるべきだ。いのちの本当の在り方だ』
『芸術とは生きることそのものである。人間として最も強烈に生きる者、無条件に生命を突き出し爆発する、その生き方こそが芸術なのだということを強調したい』
爆発は、何かを表現する際の一瞬、一時にあるものではなく、芸術家の生き方に伴うものなのだろう。
芸術家と同じように「最も強烈」というレベルで生きるのは、大変なエネルギーが要ると思う。強烈に生きることを徹底できる人は、やはり、一部の人だろう。
多くの人は、楽なほうに逃げたり、簡単に諦めたり、なんとなく時間を過ごして満足していたりして、「強烈に」とはいえない人生を送っている。それでも、それぞれ一生懸命に生きているし、自分の生き方に悩むこともある。
岡本太郎なら、「悩む時間があるくらいなら、まず、強烈に生きればいい」と言うだろう。
最も強烈に生きることを選んだ岡本太郎の言葉は、彼の生き方、人生哲学の要素である。
「人生で悩んだときは、太郎を読もう」
そんなふうに思える本だった。