ゆるっと読書

気ままな読書感想文

【生きる はたらく つくる】すべてはつながっている

2020-08-30 21:59:22 | Weblog


皆川明さんのブランド「ミナ・ペルホネン」を知らなくても、
ファッションやデザインに興味がなくても、この本から刺激を受けることがあると思う。

「生きる はたらく つくる」

この本は、生きること、働くこと、作ること、
これらの根本にある考え方、理念について書かれている本だからだ。

作ることは、デザインや洋服を作るということだけでない。
これまでになかった新しいものを作ることだけでもない。
毎日を食事を作ることだったり、
SNSで発信をすることも、情報を作ることかもしれない。

働くことも、お金になる仕事だけでなく、
庭の草取りをしたり、
友達の引っ越しを手伝うことも、働くことかもしれない。

作ること
働くこと
それも含めて、生きることなのだと思う。

皆川さんは、自らのブランドについて「100年つづくブランド」を目標に掲げている。
自分一人で達成できないことを踏まえて、「つづく」を視野に入れている。

何を大事にしていくか。
ブランドにおいても、生きることにおいても、同じなのだと思う。

進路や就職で悩んでいる人には、ぜひ、読んでほしい。

すでに社会に出ている人には、

自分の働き方や生き方を見直したり、考え直したりする際の参考になる。

社会人として十分に経験を積んでいる人は、
今、目の前にある物事にどう向き合っていくかについて、
改めて見直すことになるだろう。

定年や退職で、働くことを終わりにする必要はない。
自分の手を動かすことが、つくることだとしたら、
できることは、いろいろある。

希望が膨らむ。元気が沸いてくる1冊。

生きる はたらく つくる
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【おやときどきこども】親の呪い、私の自立

2020-08-15 11:48:17 | Weblog


親子関係について書かれている本だけど、
子育てをした経験のない人にも、お勧めの1冊。
子ども時代に、親との関係に悩んだ人にも届けたい1冊です。

「おやときどきこども」の著者、鳥羽和久さんは、大学院在学中に学習塾を開業。
小中高生の学習指導をされてきたそうです。

塾に来る子どもとのやりとり、そして、親とのやりとり。親子交えた面談でのやりとり。
それらを通して、様々な角度から、子どもと親の関係性について書いています。

私が特に惹きつけられたのは、親の「呪い」について書かれている箇所です。

例えば、「絵を描く仕事に就きたい」という子どもに対して、
「そんなに現実は甘くないわよ」などと言う親。
親は、自分が持っている「現実」を子どもに突き付け、それを子どもが共有することを望む。
親が示す「現実」の枠組みに従って、進路を決める子どもは多いそうです。

鳥羽さんは、こうした親の「呪い」について、
子どもが主体性を獲得するためには、多かれ少なかれ必要なものと位置付けます。
親の価値観や美意識のもとで、子どもは成長するので、
それらは「呪い」であるとともに、「宝(祝福)」にもなるといいます。

肝心なのは、
親が、自分の「現実」にとらわれすぎないこと。

時代によって「現実」は変化しますし、子どもがとらえた「現実」を尊重する姿勢が
必要なようです。

もう一つ、とても惹きつけられたのは次の記載です。

大人になったはずの私たちは、まだ、十分に「大人」になりきれていないのかもしれません。
とっくに大人になったはずなのに、まだ自分の弱さに対して自分で手当てすることができないままなのではないでしょうか。
一方で、かつて子どもだったときの私たちは、想像するほどには「子ども」ではなく、大人になったいまと同じようにさまざまなことを考えたり感じたりしていたのかもしれません。


著者の鳥羽さんは、
子どもの頃に感じていたことを、もう一度、感じなおしてみることを薦めています。
そうすることで、自分を手当てする。自分を受容する。
子どもの頃の自分と、今の自分が手を結ぶことができると言います。

どんな人も、誰かに育てられて、大人になる。
最も身近な親の影響を少なからず受けている。
そう考えると、親子関係について書かれたこの本を読むことは、
大人が、自分自身について見つめなおす機会になるかもしれません。

子どもの時の自分を思い出し
今の自分と照らし合わせる中で、
自分の弱さを受け止めることができると、
本当の自立につながるようにも思います。


おやときどきこども
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【ザリガニの鳴くところ】メスがオスを殺すのは、なぜか。

2020-08-02 21:17:52 | Weblog



大自然が好きな人

動物の行動に興味がある人、

どこか遠くに行きたい(気持ちだけでも)人に、特にお勧めの1冊。


「ザリガニの鳴くところ」は

ミステリーですが、自然環境や動植物の生態系の話題が豊富に盛り込まれている物語。


一人の若い男性の死。事故か、殺人か。

容疑者となる「湿地の少女」を主人公として、物語が展開する。

主人公が犯人なのか?。そうではないのか?

その謎解きが軸となっているが、

動物学者である著者が、

湿地の自然、植物や昆虫、鳥や獣の生態に関する様々な話題を盛り込んでいることが

この本の面白さを倍増させている。

生きるとは、どういうことか。

メスがオスを殺すのは、なぜか。

人間と動植物に共通するもの、しないものは何か。

考え始めると、深いテーマが敷かれていると思う。


ザリガニの鳴くところ


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