ゆるっと読書

気ままな読書感想文

【独居老人スタイル】かっこいい歳の重ね方って、ありますか?

2017-06-14 06:57:12 | Weblog




「同世代の友達なんて、つまんないからひとりもいない!」
潔いタイトルがついたページに目がとまり、ページをめくりました。

都築響一さんの著書「独居老人スタイル」

「独居老人」と聞くと、孤独で、寂しそうなイメージを持ってしまいがちですが、
この本は、若い人以上に元気で、自分を貫いて、一人で楽しそうに暮らしている老人を取り上げています。

その一人が、鳥取県で輸入用品雑貨店を営む水原和美さん。
水原さんの店には、50歳以上も歳が離れた若い子たちが集い、
話をちゃんと聞かなかったり、態度が悪かったりすれば、水原さんに怒られたりしている。

水原さんが相手にするのは、若者だけ。
水原さんが誘っているのではなく、若者が自然に集まってくる。
それが「楽しいからやっている」だけだといいます。

水原さん曰く
「同世代の友達なんて、一人もいない。大っ嫌い。近所のゴシップだとか、病気の話とか、くだらない話ばかりで聞いていられない」とのこと。
近所づきあいもずっとしていないそうです。

水原さんは若者に対して優しいわけではなく、
むしろ、びしっと怒ることが多い、うるさいオバサン。
その怖くて、うるさいオバサンのもとに若者が集まるのには、
やはり理由があるのでしょう。

水原さんにお会いしたことはないけれど、
おそらく、自分の価値基準の軸をしっかりと持ち、
それに基づいて、良いこと、悪いことを、ストレートに言葉にして、
相手にぶつけることができる人なのだと思いました。

同世代の人から、近所の人から「変わっている」と思われても、関係ない。
自分を貫いて、齢を重ねていけるのは、かっこいいですね。

独居老人スタイル (単行本)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【河瀬直美監督の映画「光」】言葉で、どこまで説明できますか?

2017-06-08 06:21:43 | Weblog

河瀬直美監督の最新作映画「光」は、いろいろな問いを与えてくれる映画でした。

この映画は、視力を失いつつあるカメラマン(永瀬正敏)と、視覚障害者のために映画の登場人物の動作や情景を言葉で伝える音声ガイドの女性(水崎綾女)の物語。
公式サイト:http://hikari-movie.com/

ネタバレになってしまうので詳細は避けますが、
観終わった後、私にとって、問いの一つになったのが、
「言葉で、どこまで説明できるか?」ということ。

「音声ガイドをする映画の世界を、どのように言葉で伝えたらいいのか?」
ということを考えていくと、

日常の中でも、自分のとらえている世界と、他人がとらえている世界とは
異なる部分があることを意識することになります。

つまり、自分の世界観を、他の人に伝えたり、共有したりするのが
「言葉」だと思い、

一方で、同じ「言葉」を使っていて、思い浮かべる物事がずれることがある。
それゆえに、世界観のズレが明確になることもある。

それぞれの世界観を、言葉がつなぐのか、言葉がズレを顕著にするのか。

なんてことを考え始めると、もやもやしますね。
このもやもや、私は、嫌いではないですけど。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする