ゆるっと読書

気ままな読書感想文

【わかりあえないことから】リーダーの資格とは?

2012-11-28 23:00:48 | Weblog
わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)
クリエーター情報なし
講談社

リーダーの資格とは?

 

劇作家・平田オリザさんが、新書「わかりあえないことから」の中で、次のように書かれていました。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

東日本大震災以降、リーダーの資格ということが多く問われてきた。

大学でもリーダーシップ教育が、声高に叫ばれている。

 

通常、そういった場面で言われるリーダーシップとは、人を説得できる、人びとを力強く引っ張っていく能力を指す。

 

しかし、私は、これからの時代に必要なもう一つのリーダーシップは、弱者のコンテクストを理解する能力だろうと考えている。

 

社会的弱者は、何らかの理由で、理路整然と気持ちを伝えることができないケースが多い。

 

いや、理路整然を伝えられる立場にあるなら、その人は、たいていの場合、もはや社会的弱者ではない。社会的弱者と言語的弱者は、ほぼ等しい。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

リーダーとは、

社会的弱者の気持ちを理解できる人。

社会的弱者に寄り添える人。

 

大きな組織ではなくても、

誰かと一緒に物事を進めるとき、リーダーシップをとる必要が出てきます。

そんなとき、こういう意識をもちたいと思います。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【演劇VS映画 ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか】平田オリザの言葉

2012-11-05 21:37:50 | Weblog
演劇 vs. 映画――ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか
クリエーター情報なし
岩波書店

引きこもりや不登校の子供たち。

背景にはさまざまな理由があるけれど、

いわゆる「良い子」が多く、

子供たちは「自分を演じるのに疲れた」「本当の自分じゃない」と言うそうです。

 

そのような子供たちに関して、

劇作家の平田オリザ氏は、次のように、話しています。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大人はですよ、さまざま役割を演じながら生きていますよね。

 

例えば、教師とか、父親とか、夫とか、親と暮らしていれば子どもとか、マンションの管理組合の役員とか、いろんな役割を演じながら、人生の時間をかろうじて前に進めていると思うんですよね。

 

ところが子供に対しては「本当の自分を見つけなさい」とか「本当の自分の意見を言いなさい」とかいうわけですね。

 

でも、本当の意見なんか言ったら、困るじゃないですか。私たちは。

 

普段の私たちは、社会的な生活や他人との関係の中で表現ってのは生まれてくるわけで。

 

これを私たちは、タマネギの皮に喩えるんです。

タマネギっていうのは、どこからがタマネギでどこからが皮ってことはないです。

 

こういうのを演劇の世界では「ペルソナ」といいます。

ペルソナというのは、「仮面」という意味と、パーソンの語源となった「人格」という意味の両方を兼ね備えているんです。

 

要するに、仮面の総体が人格なんです。

 

だから、私たちは演じる生き物なんですね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

なるほど、と思います。

 

平田オリザさんの言葉には、力があります。

 

相田和弘監督が、平田オリザさんや劇団「青年団」を撮影した観察映画

「演劇1」

「演劇2」

を観ました。

本書は、この映画をつくる過程についてまとめたもの。

まず、映画を観てから読むことをお勧めします。

 

私は、中学・高校時代に演劇部に所属していましたが

この映画を観て、平田さんの言葉から、

「私は、どうして演劇が好きなのか?」

その理由がよく分かった気がします。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする