そもそも興味があるタイトルではなかった。ただ梅田望夫さんのブログの中で、ぜひ読むべき本だと書いてあったので、急いでアマゾンで購入した。・・・だけれども、その他大勢の本と一緒に書棚に平積みしていた。
昨日辺りから、何気なく手に取り読み始めて、一章から惹き込まれている。
一章は、アイオワ大学が主催し、世界中の作家を集めるIWPというプログラムを書いたものだが、
「地球のあらゆるところで、さまざまな作家が様々な言葉で書いている・・・(中略)・・・しかも、その〈自分たちの言葉〉で書くという行為-それが、〈自分たちの国〉を思う心と、いかに深くつながっていたか。」というところでハッとした。
これに前後してアイオワに集まった様々な国の方が描かれているが、読むうちにアイオワの真っ青な空(行ったことはないが多分真っ青だろう)と「自分が日頃考えていることが突拍子もなく現実離れしているわけではない」という思いが一緒に頭に浮かび、不思議な感覚になった。
日頃考えていることとは・・・沈みゆく日本に対する苛立ち。豊かで平和であるが故に過去の遺産の上に胡坐をかいて、何もしようとしないことが当たり前であること。
一人一人が日本を変えようと考え、行動しようとすることがまるで異常であるような日常。
地球上には命さえ保障されず、水さえも満足に手に入らない世界がある。それでも精一杯生きて、何らかの物を書いている人がいる。
いま手にある豊かさが努力をしないとなくなることを考えずに漫然と過ごしている日本人が特殊であること。変わらなければならないとあせっている自分は普通の感覚の持ち主だということ。
そして地球規模で眺めれば、日本が努力をせず、国力が衰えても、それはたとえば飢えるほどはないが満腹にならなかったり、物が足りずに買えなかったりという世界中でどこにでもある国になるだけに過ぎないのではないか。
そこでも、いやそれよりももっと悪い環境でも人間は生きようと思えば生きていけるし物が書ける。
そうであれば、(自分がどこまで耐えられるかわからないが)、危機感が欠如した怠け者の日本人にイライラせずに流れに身を任せてもいいのではないのか。。。
著者の言いたいこととはまったく違っているけれど、そんなことを考えて面白く読んでいる。
・・・不思議な本である。