夢七雑録

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飛鳥山コースを歩く

2013-04-15 20:15:31 | 歴史と文化の道
 東京都の歴史と文化の散歩道のうち「飛鳥山コース」は、「田端文士芸術家村散歩(田端~飛鳥山公園)」と「日光御成道散歩(飛鳥山公園~岩淵水門)」の2区間のサブコース(ガイド区分)から成り、総延長は8.9kmになる。

(1)田端文士芸術家村散歩

 江戸時代、上野は花見の名所ではあったが、何かと制約があったため、飛鳥山まで花見に繰り出す人も多かったという。そこで、今回は、桜がまだ咲いているうちに、飛鳥山公園まで歩いてみることにした。出発地は田端駅。北口を出て左へ行く。ただし、サブコースのタイトルからすると、最初に、駅近くの田端文士村記念館に立ち寄った方が良いのかも知れない。入場無料で、展示スペースも広くはないので、それほど時間はかからない。

 駅から東台橋を潜り、カタツムリ・マークのガードレールに導かれて坂を上がっていき、信号のすぐ先の道を右に入ると、仁王像に赤札を貼る風習のある東覚寺に出る。寺の前を通る道は赤札仁王通りと呼ばれ、江戸時代に流行した六阿弥陀詣での参詣道に相当する道でもあるが、現在は、幅の広い新しい道路により分断されている。本来のルートでは、赤札仁王通りを右に進んで、少し先で右に折れて幅広の新しい道路に出る事になるが、東覚寺からすぐ、新しい道路を右に進んでも差し支えはない。この道路を先へ先へと進んでいくと、T字路になる。ここを右に行くと田端高台通りに出るので、左に折れ富士見橋でJRの線路の上を越える。昔は橋ではなく、線路が通り抜けるトンネルの上を道が通っていたそうだが、大正5年の地図を見ると、確かに、トンネルの上に道がある。

 富士見橋から先に進む。田端高台通りとそれに続く道は、江戸時代からの道であり、武蔵国府(府中)から豊島郡の役所である郡衙を経て下総国府(市川)に至る、古代官道にまで遡る可能性すらある道である。この道を進むと、幅の広い西ヶ原大通りとなり、標識Bが置かれている。左側の歩道で先に進み、本郷通りに合流したところで、歩道橋を渡ると旧古河氏庭園の前に出る。園内に入り、コンドルの設計による洋館、西洋庭園、それに低地の日本庭園が併設された園内をしばし散策してから外に出る。

 この先、本来のルートは左側の歩道を進むのだが、右側の歩道に移って豊島氏の城館跡と伝えられる平塚神社や、豊島郡衙跡と推定される滝野川公園に立ち寄った方が良さそうである。西ヶ原一里塚を過ぎ、その先を右に旧渋沢家飛鳥山邸の庭園に入って、晩香廬や青淵文庫を外から眺め、庭園を抜ける。飛鳥山公園には、渋沢史料館、紙の博物館、北区飛鳥山博物館があり、飛鳥山碑もあって、花見を兼ねて散策するには良いところである。

 歴史と文化の散歩道の案内板は、本郷通りに面した交番の近くにある。全体的に汚れているのが残念だが、ルート図と、飛鳥山公園及び旧古河庭園の説明、それと、広重の「江都名所飛鳥山はな見」と思われる図が載っている。飛鳥山公園から先のルートは、左側の歩道で音無橋に出るのだが、今回は、王子駅まで行き、これにて本日の終わりとする。

(2)日光御成道散歩

 王子駅の北口を出て音無親水公園を歩き、音無橋をくぐって石段を上がり、左側の歩道で音無橋を渡る。どちらかと言えば、右側の歩道を進み、王子神社、王子稲荷、名主の滝公園を経由してから本町通りに戻ってくる方がコース的には良さそうに思えるが、今回は、所定のルートに従い、本町通りの左側の歩道をひたすら進む。やがて、本町通りは左に曲がっていくが、日光御成道のルートは、本町通りと分かれて直進する。

 暫くの間は、車に注意を払いながらの単調な歩行が続き、中十条二の信号を過ぎる。その先、左側に十条富士塚があり、右側の西音寺を過ぎると、間もなく環七通りとなる。ここを渡ると、交差点の北西の角に標識Bが置かれている。先に進むと、道は下り坂となり、八幡山児童遊園の前に歴史と文化の散歩道の案内板が置かれている。内容はルート図と、御成道の説明、御成道を含む周辺の絵図である。

 その先、埼京線のガードをくぐり、標識Cを確認しながら赤羽に向かう。途中、稲付城跡という静勝寺が左側にあるが、今回はパスして先に行く。赤羽駅北側のガード入口に標識Bがあり、左側の歩道でガードを抜けると、その先に歴史と文化の散歩道の案内板がある。内容は、ルート図と稲付城の説明、江戸名所図会による静勝寺の図である。

 案内板から東に進み、その先の広い道路を左に曲がる。この道を進んでいくと赤羽岩淵駅の交差点に出るので、ここを北に渡って右に行き次の角を曲がって北に向かう。八雲神社を過ぎると土手の下に出る。ルートでは、土手下を右に行き志茂橋に出るのだが、ここは、土手を上がり新河岸川を岩淵橋で渡って荒川の土手に出たい。ここまで来て、ようやく開放的な気分になれるだろう。このコースの終点となる、赤い色の旧岩淵水門も、間近に見えている。なお、旧岩淵水門から志茂橋方面に行くと、荒川知水資料館の前に歴史と文化の散歩道の案内板が置かれている。内容は、ルート図と岩淵水門の説明と写真である。帰路は志茂橋を渡るルートなど幾つか考えられるが、土手の上を引き返す方が快適だろう。



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