ひさしぶりに普通のガウリナ小説です!
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抜けるような青空に、ジリジリと肌を焼く熱い日差し。
そんな中、あたしとガウリイは今日ものんびり初めての街を歩く。
その時あたしは、少しだけ感傷的な気分だった。誰にだってそんな気分になることはある。
...いくら似合わなくてもあるったらある!
「リナ」
そんなあたしに気付いたのか、隣を歩くガウリイはちょっとまじめな声を出した。
「なに?」
「...腹でも痛いのか?」
「....」
無言でスリッパをくらげの頭に降り下ろす。
すぱん。
「あだっ」
──あんまり良い音しなかったな。
「冗談だよじょーだん!」
涙目で頭をさすりつつ、ガウリイはもう片方の手であたしの頭をくしゃりと撫でた。
「ちょっと...!」
「珍しいなお前さんがそんな顔するの」
あたしの抗議の声を遮って、ガウリイがあたしに顔を近付ける。
...近いっての。
「なんか、あったのか?」
「...たまには、そんな時もあるわよ」
つい、と目を逸らしたあたしに、彼は方眉を上げた。
「こんな良い天気なのに」
「こんな良い天気だからこそ、よ」
「?」
ガウリイはよく分からない、と言った風に天を仰いだ。
「あ」
その時、絶妙なタイミングで明るい空から冷たい水が降ってきた。
──天気雨?
「うわっ、水が鼻に入った」
わたわたするガウリイがちょっとオカシイ。
「なにやってんのよ」
笑って私も空を見上げた。
天気雨は不思議だ。綺麗な青空から、きらきらした雨が降ってくる。
「リナが落ち込むなんて珍しいからって、天気雨なんか降ったんだな」
ガウリイがいたずらっぽく笑いながら言った。
「どーゆー意味よ!」
「いやいや、お前さんは落ち込んでる暇があったら盗賊いぢめするような奴だろ」
「...否定はできないけども」
なんかムカつくわね。
少しすると雨が止んだ。
「ああもう、服も濡れちゃったわ~」
「ま、暑かったしちょうど良かったんじゃないか?」
「...まぁね」
やれやれ、と首を振ると、不意に後ろから抱き締められた。
...というより、持ち上げられた?
「なにすんのよ..っ」
「ほら、見てみろリナ」
ガウリイが言う方向に目を向けると、そこには。
「あ、虹」
「な?」
「何が『な?』よ」
とにかくさっさと降ろせっつーの!恥ずかしい...。
「空もリナが暗い顔してるなんて似合わないってさ」
ガウリイの言葉に、あたしはますます恥ずかしくなった。
「...なんか気障ぁ~」
「言うな。...オレも言ってからそう思った」
ガウリイはあたしを降ろして頬をぽりぽり掻いてみせた。
「...でも、ありがとね」
振り向いて笑ってみせると、ガウリイもにこりと笑った。
──何があっても、二人なら。