ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

さぷらいず。(四人組)

2015-09-23 17:52:21 | スレイヤーズ二次創作
お待たせいたしましたーっ!!
リクエスト消化第5弾です。前回からかなり時間がかかってしまいましたが、なんとか完成しましたー!(ほっ

今回は、こちらも普段twitterでお世話になっているあいこさんからのリクエストですー^^*
リク内容は「ガウリナ、ゼルアメ前提の仲良し四人組で、ガウリイ、ゼルにサプライズをしかけるリナとアメリア」でした。
素敵なリクエストありがとうございましたーヽ(*´∀`*)ノ.+゚

ではでは、続きからどうぞ!

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「高級羊毛の産地?」
 四人旅の途中。たまたま辿り着いたその村では、羊農が盛んだった。
 何やら人間たちよりも良いご飯を食べ、可愛がられ、ブラッシングを毎日受けて育つその羊さんの毛は、とてもとても上質な物らしい。
「その毛で編んだセーターはあったかくてねえ、肌触りも全然違うのよ」
 そう言ってにこにこと笑った村のおばちゃんのセーターも、またその羊毛で出来ているらしい。触ってみれば、それは確かにふわふわと柔らかく、そして優しい肌ざわりだった。
「へええ、良いわね」
「暖かいし、軽くて素敵……」
 感心しながらおばちゃんのセーターを撫でまわすあたしとアメリアに、おばちゃんは機嫌を損ねる事もなく色々と教えてくれる。
「だんだん寒くなってきたからねえ。既製品も勿論良いけど、毛糸を買って自分で小物を作るのも人気だね。お嬢ちゃんたちも、誰かのプレゼントにどうだい?」
「――プレゼント、ねえ……」
 顔を見合わせたあたしたちに、ちゃっかり自分の店の毛糸を紹介し始めるおばちゃんは、なかなかどうして商売人だった。 

 ***

 最近、リナとアメリアの様子がおかしい。
 妙にこそこそして、二人してどこかへ出かけていく。しかも毎度手土産を持って。そして、帰ってくるとどこか嬉しそうなのだ。
 凄く気になるのだが、何故か二人とも行き先を教えてはくれない。
「あんたたちには関係ないのっ!」
 慌てたようにそう言うリナが何を隠しているのか。知りたいような、知るのが怖いような……。

「二人とも、どこへ行ってるんだろうなあ」
 今日もまたどこかへと消えた二人をゼルガディスと宿で待ちながら、オレは溜め息をついた。男二人で長時間膝を突き合わせていても、あまり面白くは無い。話のネタもそのうちに尽きる。そうしたら話題にのぼるのは、やはりその場に居ない少女二人の事になるわけで。
「ここ一週間くらいずっとじゃないか。珍しくないか?」
 確かに、今の所急ぎの予定も無いためしばらくはゆっくりする、と決めてはいたのだが。こんな風に二人とも毎日いなくなる、というのは今までになかった。
「……そうだな」 
 魔道書を読みながら視線も上げずに返事を返したゼルは、あまり興味が無い、といった顔をしてはいるが、でも確実に先週よりも不機嫌になっているのはオレにも分かる。

「男に会ってたらどうしよう」
 がたん。
 ぽろりとこぼした不安に、目の前の男は思った以上に反応を示した。
「な、ま、まさかそんな事は無いだろう……」
 椅子からずり落ちそうになったゼルは、バタンと音を立てて本を閉じ、焦ったような顔をこちらに向ける。
「んー、そうとは思うんだけどなー」
 リナに限って。そうは思うのだが。
 ――もし通う先に変な男が居たら。リナにその気が無くても向こうが勝手に勘違いをしていたら。
 嫌な想像に苦い思いが広がる。
 目の前のゼルもその思いは同じらしい。眉間に寄せた皺が深い。
「……アメリアの事だ。変な正義感を発揮して止むに止まれず通っているのかもしれん……」
 ぼそりとそう呟いて、ゼルガディスは立ち上がった。
「ゼル?」
「……付けてみるか」
 ゼルガディスの目には、熱い決意の色が浮かんでいた。

 ***

「――ここか」
 今日もまた、妙にそわそわしながら宿を出たリナとアメリアの後を付け、辿り着いたのは小さな店だった。看板を読んで、オレとゼルは顔を見合わせる。
「手芸屋?」 
 この店の店主がいい男だったりするのだろうか。いやまさかそんな。
 もやもやしつつ扉を開ける。そんなオレたちの目に飛び込んできたのは、色とりどりの布やら糸やら。そして店員らしき一人の若い兄ちゃん。――こいつか? 一瞬、ちり、と胸の奥で敵愾心がくすぶるが、それよりも。
 予想外に、そこにリナやアメリアの姿は無かった。
 きょろきょろと店内を見回すオレたちに気が付いて、兄ちゃんは無表情にぺこりと頭を軽く下げた。
「……らっしゃい」
 無愛想なその店員の掛け声にオレはゼルガディスと顔を見合わせる。
「あー、その……」
「?」
「ここに、若い娘が二人来なかったか? 魔道士風の栗色の髪の女と、黒髪の――」
 言いかけたゼルの言葉を、兄ちゃんが途中で遮った。
「なんだ。あんたらもばーちゃんの客?」
「「は?」」
 そしてオレ達の疑問は、その後直ぐに解消された。


「がががガウリイっ!? どーしてここにっ!」
「ぜ、ゼルガディスさんまでっ!?」
 めちゃくちゃに慌てた様子で手にした物を隠そうとするリナとアメリアに、思わず笑い出しそうになる。彼女達が持っていたのは、編みかけのマフラーだった。
「おやおや、お前さん達がこの子らの『いい人』かい?」
 彼女達の横で同じように編み物をしていたのは、優しそうなおばあさんだった。どうやら先程の店員の祖母らしく、店の奥の小部屋を小さな編み物教室にしているらしい。
 にこにこと笑う彼女に、リナが顔を真っ赤にして抗議する。
「ちょ、ちょっとおばあちゃんっ!」
 抗議をしつつも、彼女の言葉を否定しないリナに思わずにやけそうになってしまう。
 ――イイヒト、ねえ。
「……はー、まだ完成してなかったのにー……」
 リナと同じように顔を赤くして、がくりと肩を落とすアメリア。彼女の身体で隠しきれていない明るいグリーンのそれがちらちらと目に映る。
「完成してから渡して、お二人を驚かせたかったのに。サプライズ失敗ですー……」
 そうか、だから黙っていたのか。納得して隣のゼルを見やると、彼は黙って顔を手で隠していた。
「……」
「ゼル、顔赤くなってる」
「言うな」

 リナの後ろに回って、彼女の手からマフラーを取り上げた。
「――あ、ちょっと! それまだ編みかけなんだからねっ!」
 薄いブルーのそれは、マフラーと分かるぐらいには長さがあって、柔らかい手触りが優しい。
「出来あがったらこれ、オレにくれるのか?」 
「……あんた以外の誰にあげるってーのよ」
 ぷい、と顔を背けたリナの頬が赤く染まっていて。オレは嬉しくなって彼女の頭をくしゃりと撫でた。
「ありがとな、リナ!」 
「だからまだ早いってば!」
 オレからマフラーを取り返そうと暴れるリナをよそに、オレは完成したそれにどんなお返しをして驚かせてやろうか、ゼルガディスと共謀しようかなどと、そんな楽しいサプライズを考え始めたのだった。


おしまい。

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