前回の続きです。
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「ばれちゃあしょうがねぇ!って感じですかねー」
あはは、と笑いながらゼノンが言う。
「お察しの通り、僕は『町長の息子ゼノン』さんじゃありません」
「じゃあ、本物は...?」
レオナの不安気な声に、『ゼノン』は頬を掻いた。
「本物は、僕がこの町を訪れた時にはもういませんでしたねぇ...人知れずデーモンが蔓延る町から逃げ出したか、それとも一人勇敢にも森に入って亡くなったか...ちょうど良かったのでしばらく成り代わらせて頂きました」
「じゃあオレたちにこのデーモン退治を依頼したのもあんたか」
「...貴方が殺したということは?」
低い声に探るような視線を向けるルーナ。
「僕はそんな面倒なことはしませんよう」
ひらひらと手を揺らす男。
「...さて、ラウディさん。貴方、いつから気付いてました?僕が偽者だと」
興味深げに聞かれて、オレは肩を竦めた。
「あんたが森にオレたちを追ってきた時からだな。身体が弱い上に町を預かる町長の息子が、一人でデーモンの蔓延る森にのこのこ来るとは思えない...それに、オレの破れなかった結界を簡単に破った」
「それだけですか?」
「あとはまぁ色々気になる所はあったな...それに」
「?」
「オレは、ですます口調でやたらにこにこしてる奴は、信用しないことにしてるからな」
男は、一瞬ぱちぱちと瞬きをして、そして笑った。
「くっくっ...全く面白いですね」
そう言うと彼はふっと姿を変えた。
「!」
黒い法衣に黒いおかっぱ頭、どこにでもいそうな笑顔の男。年の頃は先ほどの仮初めの姿とさほど変わらないだろう。
「僕は謎の神官(プリースト)ゼロスと申します」
ぺこり、と頭を下げる男に、オレは頭を掻いた。
──自分で"謎の "って言っちゃうのかよ!
「兄さん!」
すっかり緊張感の薄れかけた空気の中、レオナが声をあげた。
「さっき『魔族との契約』って言ってたわよね?ってことは今回の黒幕は...」
「...」
オレは無言で頷いた。魔道士は『あの方』のため、としきりに言っていた。多分それは契約相手の純魔族だろう。
「そう、僕はそれを確かめにここに来たんですよ」
ゼロスはキョロキョロと辺りを見回した。
「しかし、契約相手が殺されたというのに、なぜ現れないんでしょうねぇ?」
「...そうだ!あんたいつ『石』を見付けたんだ?」
オレの疑問に、ゼロスは人差し指を自分の唇に当てて見せた。
「それは秘密です」
「男のオレにぶりっこポーズされても...」
「さて、それはともかく、皆さんは町の人たちを連れて帰った方が良いと思いますよ?」
「なぜ?」
「とても危険ですから」
ゼロスがそう言った途端、場の空気が変わった。
徐々に立ち込めてくる障気。元々薄暗い場が闇を深めていく。
「来ちゃいましたねぇ...」
「!?」
ゼロスの一言でオレたちは全員その場に固まった。
続く
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次回に続きます!
ようやっと今回のラスボス(?)登場です。
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「ばれちゃあしょうがねぇ!って感じですかねー」
あはは、と笑いながらゼノンが言う。
「お察しの通り、僕は『町長の息子ゼノン』さんじゃありません」
「じゃあ、本物は...?」
レオナの不安気な声に、『ゼノン』は頬を掻いた。
「本物は、僕がこの町を訪れた時にはもういませんでしたねぇ...人知れずデーモンが蔓延る町から逃げ出したか、それとも一人勇敢にも森に入って亡くなったか...ちょうど良かったのでしばらく成り代わらせて頂きました」
「じゃあオレたちにこのデーモン退治を依頼したのもあんたか」
「...貴方が殺したということは?」
低い声に探るような視線を向けるルーナ。
「僕はそんな面倒なことはしませんよう」
ひらひらと手を揺らす男。
「...さて、ラウディさん。貴方、いつから気付いてました?僕が偽者だと」
興味深げに聞かれて、オレは肩を竦めた。
「あんたが森にオレたちを追ってきた時からだな。身体が弱い上に町を預かる町長の息子が、一人でデーモンの蔓延る森にのこのこ来るとは思えない...それに、オレの破れなかった結界を簡単に破った」
「それだけですか?」
「あとはまぁ色々気になる所はあったな...それに」
「?」
「オレは、ですます口調でやたらにこにこしてる奴は、信用しないことにしてるからな」
男は、一瞬ぱちぱちと瞬きをして、そして笑った。
「くっくっ...全く面白いですね」
そう言うと彼はふっと姿を変えた。
「!」
黒い法衣に黒いおかっぱ頭、どこにでもいそうな笑顔の男。年の頃は先ほどの仮初めの姿とさほど変わらないだろう。
「僕は謎の神官(プリースト)ゼロスと申します」
ぺこり、と頭を下げる男に、オレは頭を掻いた。
──自分で"謎の "って言っちゃうのかよ!
「兄さん!」
すっかり緊張感の薄れかけた空気の中、レオナが声をあげた。
「さっき『魔族との契約』って言ってたわよね?ってことは今回の黒幕は...」
「...」
オレは無言で頷いた。魔道士は『あの方』のため、としきりに言っていた。多分それは契約相手の純魔族だろう。
「そう、僕はそれを確かめにここに来たんですよ」
ゼロスはキョロキョロと辺りを見回した。
「しかし、契約相手が殺されたというのに、なぜ現れないんでしょうねぇ?」
「...そうだ!あんたいつ『石』を見付けたんだ?」
オレの疑問に、ゼロスは人差し指を自分の唇に当てて見せた。
「それは秘密です」
「男のオレにぶりっこポーズされても...」
「さて、それはともかく、皆さんは町の人たちを連れて帰った方が良いと思いますよ?」
「なぜ?」
「とても危険ですから」
ゼロスがそう言った途端、場の空気が変わった。
徐々に立ち込めてくる障気。元々薄暗い場が闇を深めていく。
「来ちゃいましたねぇ...」
「!?」
ゼロスの一言でオレたちは全員その場に固まった。
続く
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次回に続きます!
ようやっと今回のラスボス(?)登場です。
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