ゆるい感じで。

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交錯恋愛40

2010-10-06 21:20:01 | 交錯恋愛(4人組長編/完)
「交錯恋愛39」の続きです。

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俺はイライラしていた。
まず一つ、最近ゼロスが無駄に近付いてくる事だ。...あのおかっぱ頭、何を考えているのか知らんが、気味が悪い。
リナの様子も少しオカシイし、アメリアも俺に話し掛けてこようとしない。
...避けられてまで近寄ろうとは思わん。

「...はぁ」
そして、まさかバイト先に財布を忘れるとは...。
まぁいい、さっさと見付けてアパートに帰ろう。

がちゃん

裏口から鍵を開けて入り込む。
スタッフルームに入ると、テーブルの上に俺の財布がちょこんと乗っていた。
その上に、付箋が張り付けてある。
『ゼルガディスさんの!』
見覚えのある丸くてオレンジ色の文字に、思わず笑った。
「..アメリアか」


「あ、グレイワーズ君。今日シフトだっけ?」
声を掛けられて振り返る。
「店長。いえ、忘れ物です。今から帰りますんで」
「そうかー。そういえば、さっきアメリアちゃんとアルフレッド君帰したところだよ」
「...はぁ」
「じゃあね」
にこりと笑って、店長は去っていった。

...入れ違いか。
店を出ると、空が赤い。
日が長くなると、夏が来たのだと実感する。

「...ん」
遠くに、見覚えのある人影。
店の前にある小さな公園だ。子供用の遊具がちょっとしかないから、いつも人はいないはずだ。
「アメリアと...アルフレッド?」

逢い引き?
...まさかな。
自分の考えのあり得なさに笑った。
あいつにはガウリイがいるだろう。

「......」
少し様子を見守るくらい、問題ないだろう。

そっと近付いて、公園の草木の後ろにしゃがみこむ。
...何やってんだ俺は。この二人がどうしていようと俺には全く関係ないはずなんだが。

近付くと、やはりそれはアメリアとアルフレッドだった。

「ごめんなさい...」
消え入りそうな声。
アメリアのそんな声を、初めて聞いた。

ふと、アメリアの顔に視線をやる。

「.....!」
泣いている。...あのアメリアが。

その瞬間。
俺は何かが切れるような音を、頭の中で聞いた。
「アメリア..!どうして」
アルフレッドの声がひどく小さく聞こえる。
すく、と俺は立ち上がって、二人の方に歩いて行く。
驚くほど、体が熱くて、頭が冷えていた。

俺に気付いた二人が驚いたような顔をするが、そんな事はどうでもいい。

「ちょっ..なんなんですか」
アルフレッドが寄ってくる。
俺は、自分でも驚くほどためらいなく、彼を殴っていた。
「!」
「...女を泣かせる男は最低だ」

「ぜ、ゼルガディスさん...っ!?」
アメリアは泣き顔で、でも驚いている。
──そりゃそうだろう。
自分でも訳が分からず、アメリアの腕を掴んでいた。
「!」
「...行くぞ」

俺は、彼女を連れて駆け出した。


「ぜ、ゼルガディスさん」
「なんだ?」
「..つ、疲れました」
はあはあと息をつくアメリアである。
気が付くと、見知らぬ場所まで走って来ていた。
「..すまん」
言って、彼女の腕を掴んでいた手を離した。
アメリアはもう泣いてはいなかった。
「..あ、あの!」
「なんだ」
「違うんですっ!私が勝手に泣いただけで、アルフレッドは別に何も悪くないんです!」
「...」
「アルフレッドは、ただ、私に気持ちを伝えてくれただけで...ほんとに彼は何もしてないんです」

「...そうか」
──じゃあ、なんで泣いてたんだ?
喉元まで出かかった質問を飲み込んで頷く。

「...でも、ありがとうございます」
「?」
「わたしが何かされてると思って、助けようとしてくれたんでしょう?」
「...間違いだったようだがな」
全くの早とちりという訳だ。
ため息を吐くと、彼女は笑った。
「でも、嬉しかったんです」
「.....」

アメリアの笑顔を、久々に見た気がした。

「...アメリア」
俺が言おうとした言葉を遮るように、アメリアが口を開いた。
「ゼルガディスさん」
「...なんだ」
「リナの事、大切にしてあげて下さいね」
にこり、と笑った彼女の顔は、少しだけ、不自然に見えた。


続く

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やっと、書きたかった所が一つ書けました。
なんかまとまってなくてすいませんorz


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