前回の続きです。
(*´∀`)
-------------------------------------------------
「あの、あなたたち仕事を探してるって言ってましたよね?」
ためらいを含んだ声に顔を上げると、協会の関係者であろう女性が目の前に立っていた。
「え、ええまあ」
「一つ、仕事があるかもしれません」
──リナ=インバース討伐。
その言葉の不穏な響きにオレ達は凍り付いた。
「まだニュースにはなっていませんが、今朝から三件、マジックショップで強盗事件が起きています。しかも一件では店主が殺されました」
「なっ......!」
「そのどの事件にも、一人の女魔道士が関わっているらしいのです」
「それがリナ=インバースだって言うのか!?」
「強盗に押し入られた店の一件で、店主が仲間に『リナ』と呼ばれる女を見たと......」
──ありえない。そんな事、あるわけがない。
黙り込んだオレ達に何を思ったか、女性は一つ頷いた。
「確かに、あの有名なリナ=インバースを捕まえるなんて難しいかもしれませんが、今街の自警団にも協力を要請しています。もし腕に自信があれば手を貸して頂けませんか?」
オレ達は顔を見合わせた。レオナの顔にも困惑の色が浮かんでいる。
......母さんがそんな事をするわけがない。そもそも、今両親は揃って郷里にいるはずなのだ。偽者としか思えない。
──ただ、そんな事を今ここで主張しても、意味があるだろうか......?
事件が起きている事には変わりない。だったら、さっさと真犯人を捕まえて、母さんの偽者であることを吐かせた方が確実だ。
そこまで考えてから返事を返そうと口を開くと、横から声が掛かった。
「すみません。今の話、僕にも聞かせて貰えませんか?」
振り向くと、一人の少年がオレ達に近付いて来ていた。
「あっ......」
すらりと背が高く、黒髪の中性的な美少年。さっき図書館で一冊の本を譲ってくれた少年だった。彼もオレに気付いたらしく、小さく会釈してから女性に視線を向けた。
「今の話、僕には信じられません。リナ=インバースはそんな事をする女性ではないはずです」
「え?」
女性が目を丸くする。オレ達も驚いて彼を見つめた。
「あなた、あのリナ=インバースを知ってるの?」
「ええっと、まあ、少し......」
言葉を濁した少年は、しかし譲らない。
「......とにかく、その女魔道士はリナ=インバースを騙る偽者に違いありません!」
そんな少年を宥めるように、落ち着いた声が響いた。
「我々は偽者か本人であるかは拘らない。捕まえてくれればそれで良い」
先ほどの老魔道士だった。レオナが渡した研究レポートを握りしめている。
「......新たに連絡が入った。街外れのマジックショップもやられたようだ。こちらも動かねばなるまい」
険しい表情で、腕を組む。そして少年を見つめた。
「君の主張は分かった。......その主張を証明したくはないか?腕に自信があるなら、マジックショップ強盗犯の討伐に力を貸してくれ」
「......分かりました」
「オレ達も参加させてもらうぜ。勿論、仕事としてだ」
こうなったら、オレ達も黙っている事は出来ない。横から口を出せば、少年は表情を明るくした。
「よろしくお願いします!」
「おう。オレはラウディ、こっちはレオナだ。そっちは?」
「ルシウス=シルフ=ラーダ。神官見習いです」
ぺこりと頭を下げた少年と、オレ達は一時的に仲間になったのだった。
続く
-------------------------------------------------
少年はシルフィールさんの息子でした!
というわけで次回に続きます(^^)/
(*´∀`)
-------------------------------------------------
「あの、あなたたち仕事を探してるって言ってましたよね?」
ためらいを含んだ声に顔を上げると、協会の関係者であろう女性が目の前に立っていた。
「え、ええまあ」
「一つ、仕事があるかもしれません」
──リナ=インバース討伐。
その言葉の不穏な響きにオレ達は凍り付いた。
「まだニュースにはなっていませんが、今朝から三件、マジックショップで強盗事件が起きています。しかも一件では店主が殺されました」
「なっ......!」
「そのどの事件にも、一人の女魔道士が関わっているらしいのです」
「それがリナ=インバースだって言うのか!?」
「強盗に押し入られた店の一件で、店主が仲間に『リナ』と呼ばれる女を見たと......」
──ありえない。そんな事、あるわけがない。
黙り込んだオレ達に何を思ったか、女性は一つ頷いた。
「確かに、あの有名なリナ=インバースを捕まえるなんて難しいかもしれませんが、今街の自警団にも協力を要請しています。もし腕に自信があれば手を貸して頂けませんか?」
オレ達は顔を見合わせた。レオナの顔にも困惑の色が浮かんでいる。
......母さんがそんな事をするわけがない。そもそも、今両親は揃って郷里にいるはずなのだ。偽者としか思えない。
──ただ、そんな事を今ここで主張しても、意味があるだろうか......?
事件が起きている事には変わりない。だったら、さっさと真犯人を捕まえて、母さんの偽者であることを吐かせた方が確実だ。
そこまで考えてから返事を返そうと口を開くと、横から声が掛かった。
「すみません。今の話、僕にも聞かせて貰えませんか?」
振り向くと、一人の少年がオレ達に近付いて来ていた。
「あっ......」
すらりと背が高く、黒髪の中性的な美少年。さっき図書館で一冊の本を譲ってくれた少年だった。彼もオレに気付いたらしく、小さく会釈してから女性に視線を向けた。
「今の話、僕には信じられません。リナ=インバースはそんな事をする女性ではないはずです」
「え?」
女性が目を丸くする。オレ達も驚いて彼を見つめた。
「あなた、あのリナ=インバースを知ってるの?」
「ええっと、まあ、少し......」
言葉を濁した少年は、しかし譲らない。
「......とにかく、その女魔道士はリナ=インバースを騙る偽者に違いありません!」
そんな少年を宥めるように、落ち着いた声が響いた。
「我々は偽者か本人であるかは拘らない。捕まえてくれればそれで良い」
先ほどの老魔道士だった。レオナが渡した研究レポートを握りしめている。
「......新たに連絡が入った。街外れのマジックショップもやられたようだ。こちらも動かねばなるまい」
険しい表情で、腕を組む。そして少年を見つめた。
「君の主張は分かった。......その主張を証明したくはないか?腕に自信があるなら、マジックショップ強盗犯の討伐に力を貸してくれ」
「......分かりました」
「オレ達も参加させてもらうぜ。勿論、仕事としてだ」
こうなったら、オレ達も黙っている事は出来ない。横から口を出せば、少年は表情を明るくした。
「よろしくお願いします!」
「おう。オレはラウディ、こっちはレオナだ。そっちは?」
「ルシウス=シルフ=ラーダ。神官見習いです」
ぺこりと頭を下げた少年と、オレ達は一時的に仲間になったのだった。
続く
-------------------------------------------------
少年はシルフィールさんの息子でした!
というわけで次回に続きます(^^)/
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます