どもです。お久しぶりです。
めちゃくちゃ時間が経ってしまってるのですが、続きのまま放置していたガウリナ子世代が主人公の物語の続きでございます。
前回までの話が気になる方は「子世代妄想」カテゴリからどうぞ。これまで読んでくださっていた方は、遅くなって本当にすみません…!
この「アトラスでひと騒ぎ」のシリーズは最後まで書ききるつもりなので、どうぞよろしくお願い致します~。
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ざく、ざく、と雑草を踏みしめる足音が近づいてくる。薄暗い森の中、近づいてくるシルエットは小柄で、さらに長いマントをなびかせている。
「お前は……!」
息を呑むオレ達の前に、とうとうそいつは姿を現した。
若い女。栗色の長い髪は軽くウェーブが掛かり、赤みがかった茶色い目はキツく吊り上がっている。……そして、大きな胸にくびれたウエスト。無闇に露出度の高いファッションを覆うように肩から掛けた黒いマントの縁には、いくつもの房飾りと派手な宝石がくっついていた。
――偽物。これでハッキリした。こいつは正真正銘の偽物だ。……母さんはこんな下品なファッションセンスはしていないし、何よりこんなに胸もでかくない。
「あたしに何か用?」
ねぐらを襲われたというのに、やけに余裕ぶった態度の女だ。死屍累々、とその場に転がっている盗賊たちを見向きもしない。『仲間』とも思っていないのか。
「お前が、リナ=インバースの名を語る偽物か」
オレの言葉に、相手はぴくりと片眉を吊り上げる。
「……失礼ね、あたしは正真正銘リナ=インバースよ」
「オレは本物を知っている。間違っても、アンタみたいな女じゃない」
リナ=インバースは強盗を潰すことはあっても、その仲間になる程ワルじゃない。
「その証拠は?」
「は?」
「そっちの知り合いが本物って証拠はあるわけ? あたしが偽物って証拠も? 無いでしょ。そっちが嘘ついてる可能性を誰も否定できないわよね」
にやにやと言う。ムッとしたオレを片手で制したのはランツだった。
「仮にあんたがリナ=インバースだとしよう。じゃ、なんであの盗賊殺しで有名なリナ=インバースがケチな盗賊とつるんで強盗なんて働いてんだい。それに、相棒のガウリイの兄キは?」
「あたしが何をしようと勝手でしょ。そういう気分だっただけ。……それに、ガウリイ、ね。ああ、懐かしい名前。確かに私はあいつと旅をしてたわよ。――けど彼、顔は良いけど女遊びが激しくて。……こっちから捨ててやったわ」
ポイ、とゴミを投げ捨てるような仕草。
「………………テメェ」
思わず声が低くなる。母の名を汚すばかりか、両親の関係すら馬鹿にされたのでは黙っていられるわけもない。剣を抜こうと腰に手を伸ばすオレだったが、剣の柄を掴む前に背後から聞こえる声に気が付いた。
「……黄昏よりも昏きもの、血の流れより紅きもの……」
地を這うような恐ろしく低い声。怒りのオーラが満ち満ちている。って、その詠唱は。
「! 待て待て待て、待てレオナ! こんな所でソレは止めろっ!」
慌てて手で口を塞げば、彼女はじたばたしながらオレを睨んだ。
「離して兄さんっ! あの女……っ! ぜぇぇったい許さないっ! ふん捕まえてっ、このっ、めちゃくちゃにしてやるっ」
怒っている。それはもう怒っている。我が妹がこんなにキレているのは初めて見たかもしれない。隣でルシウスがちょっと引いている。――とはいえ、彼も、ランツもあの女には怒りを感じているようで。
「行きましょう。あの人を、なんとしても捕まえるんです!」
「おう。……姉ちゃん、よりによってリナ=インバースの名前なんぞ騙ったことを後悔するんだな」
「フンっ、捕まえられるもんなら捕まえてみなさいよ」
偽リナ=インバース、捕獲作戦開始、である。
「お前は……!」
息を呑むオレ達の前に、とうとうそいつは姿を現した。
若い女。栗色の長い髪は軽くウェーブが掛かり、赤みがかった茶色い目はキツく吊り上がっている。……そして、大きな胸にくびれたウエスト。無闇に露出度の高いファッションを覆うように肩から掛けた黒いマントの縁には、いくつもの房飾りと派手な宝石がくっついていた。
――偽物。これでハッキリした。こいつは正真正銘の偽物だ。……母さんはこんな下品なファッションセンスはしていないし、何よりこんなに胸もでかくない。
「あたしに何か用?」
ねぐらを襲われたというのに、やけに余裕ぶった態度の女だ。死屍累々、とその場に転がっている盗賊たちを見向きもしない。『仲間』とも思っていないのか。
「お前が、リナ=インバースの名を語る偽物か」
オレの言葉に、相手はぴくりと片眉を吊り上げる。
「……失礼ね、あたしは正真正銘リナ=インバースよ」
「オレは本物を知っている。間違っても、アンタみたいな女じゃない」
リナ=インバースは強盗を潰すことはあっても、その仲間になる程ワルじゃない。
「その証拠は?」
「は?」
「そっちの知り合いが本物って証拠はあるわけ? あたしが偽物って証拠も? 無いでしょ。そっちが嘘ついてる可能性を誰も否定できないわよね」
にやにやと言う。ムッとしたオレを片手で制したのはランツだった。
「仮にあんたがリナ=インバースだとしよう。じゃ、なんであの盗賊殺しで有名なリナ=インバースがケチな盗賊とつるんで強盗なんて働いてんだい。それに、相棒のガウリイの兄キは?」
「あたしが何をしようと勝手でしょ。そういう気分だっただけ。……それに、ガウリイ、ね。ああ、懐かしい名前。確かに私はあいつと旅をしてたわよ。――けど彼、顔は良いけど女遊びが激しくて。……こっちから捨ててやったわ」
ポイ、とゴミを投げ捨てるような仕草。
「………………テメェ」
思わず声が低くなる。母の名を汚すばかりか、両親の関係すら馬鹿にされたのでは黙っていられるわけもない。剣を抜こうと腰に手を伸ばすオレだったが、剣の柄を掴む前に背後から聞こえる声に気が付いた。
「……黄昏よりも昏きもの、血の流れより紅きもの……」
地を這うような恐ろしく低い声。怒りのオーラが満ち満ちている。って、その詠唱は。
「! 待て待て待て、待てレオナ! こんな所でソレは止めろっ!」
慌てて手で口を塞げば、彼女はじたばたしながらオレを睨んだ。
「離して兄さんっ! あの女……っ! ぜぇぇったい許さないっ! ふん捕まえてっ、このっ、めちゃくちゃにしてやるっ」
怒っている。それはもう怒っている。我が妹がこんなにキレているのは初めて見たかもしれない。隣でルシウスがちょっと引いている。――とはいえ、彼も、ランツもあの女には怒りを感じているようで。
「行きましょう。あの人を、なんとしても捕まえるんです!」
「おう。……姉ちゃん、よりによってリナ=インバースの名前なんぞ騙ったことを後悔するんだな」
「フンっ、捕まえられるもんなら捕まえてみなさいよ」
偽リナ=インバース、捕獲作戦開始、である。
続く
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